編集部の調べでは、現在特に目立って売れているのは、大正製薬の『パブロンゴールドA〈微粒〉』をはじめとした総合感冒薬。ほかにも、丸型のはり薬である『ロイヒつぼ膏』(ニチバン)や、胃腸薬の『太田胃散』(太田胃散)、『キャベジンコーワα』(興和)、栄養剤の『アリナミンEXプラス』(アリナミン製薬)などが人気だ。
「また、SENKAの『パーフェクトホイップ』をはじめとした、日本の化粧品や日焼け止めなども大きく動いているインバウンド商品といえます。一方で、日本のお客さまには韓国コスメの人気が高く、日韓のコスメ需要では逆転現象が起きているような感覚もありますね」
ピークタイムは夜10時前後
お菓子などの食品も、手軽に買って帰れる人気お土産。特にいま、外国人旅行者にヒットしているのが、UHA味覚糖の『コロロ』というグミや、オリヒロの『ぷるんと蒟蒻ゼリー』だ。
「柔らかい不思議な食感のお菓子は特に人気が高く、帰国して家族や友人に配るために大量買いしていくお客さまも多いですね。また、ネスレ日本の『キットカット』は、海外では手に入らない様々な味を各種取り揃えており、抹茶やフルーツフレーバーのファミリータイプがよく購入されています」
急激なインバウンドの回復は嬉しい反面、その勢いに小売りの現場は戦々恐々としているようだ。
「特に都心の店舗などでは、日中に観光を終え、ホテルに戻ってから改めて来店される旅行者も多く、ピークタイムが夜10時前後となっている状況も生まれています。とてもありがたいことではありますが、この先さらに中国からのインバウンド回帰が起こることを考えると……現場のスタッフもうれしい悲鳴を上げているような状況ですね」
人気商品が品薄にならないように備えるだけでなく、免税対応レジを増やしたり、接客スタッフを増員したりといった受け入れ態勢も急ピッチで整えていく必要があるという。
「もちろん、日本のお客さまにとってもストレスなく買い物をしていただけるよう、免税対応レジの増設や、フロアや動線を明確に分けるといった対策も模索しています。いましばらくは、バタバタと慌ただしくなりそうですね」
日本での需要をさらに上回るかたちで、訪日旅行者たちに人気の高いインバウンド商品の争奪戦……この先、中国人旅行客の“参戦”で、さらに盛り上がることは間違いないだろう。
(取材・文/吉信 武)