ママタレとして生き残る条件
毒舌ママタレは今後も増えていくだろう。しかし、ライバルが多いため、競争が激しい。というのも、ママタレ業の“うまみ”は大きいからだ。SNSでの収入に、テレビやCM出演料、料理本の出版やイベント、ブランドプロデュースの声がかかることもある。
「近頃は芸能人だけでなくインフルエンサーが続々参入するなど、ママタレの裾野も広がってきて、多数のライバルを相手に戦わなければならない。ママタレ業はもはや戦国時代の様相を呈しています。ママというだけでは、タレントとしての武器になりにくくなってきています」
ママタレ+毒舌のように、成功しているママタレはそれぞれの“武器”を持つ。
「危機をうまく乗り越え、離婚して女性の支持を集めた杏さんと、離婚せずの選択で株を上げた佐々木希さん。2人とも大変な思いをしたけれど、共感を集めたのはつらさを表に出さなかったから。もともとの人気に一人の女性としての人間的な魅力が加わった」
杏と同様に、シングルマザーになったケースでも、女性にそっぽを向かれたママタレもいる。スキャンダルや離婚により人としての在り方が浮き彫りになり、そこが女性票獲得の分かれ目になる、と衣輪さんは指摘。
この先ママタレとして生き残るには、ひとつの大切な条件があるという。
「ママタレ自体の需要はなくならないでしょう。ただ、これからのママタレに必要なのは、ママという概念にとらわれない生き方を見せていくこと。今の時代、温かい家庭や子どもの写真は求められていない。それより一人の女性としてどうあるかが重要になる。ゆえに、面白い人が出てくる可能性もある。例えばママになってはっちゃけた木村佳乃さんや仲里依紗さんのように、子どもを産んだことで新たな一面が現れる人もいて、意外な人がママタレとして台頭することも考えられる。毒舌以外の新しいママタレジャンルが生まれるかもしれません」
お次はどんなママタレが誕生し、誰が生き残るのか? ママタレ界の未来に注目だ。
きぬわ・しんいち メディア研究家。雑誌『TVガイド』やニュースサイト「ORICON NEWS」など多くのメディアで執筆するほか、制作会社でのドラマ企画アドバイザーなど幅広く活動中
取材・文/小野寺悦子