元カレを振り切って8か月のお腹を抱え結婚
「帰国早々、トニーのことがフィルにバレた。トニーに書いた手紙の下書きをテレビ台の引き出しに入れていて、それをフィルが見つけてしまった。『あなたのことを心から愛している』としたためたラブレターです。これは何だと、フィルに泣かれました。
トニーのことを告白しました。昔付き合っていた男性で、あなたが留守の間に連絡を取っていた、けれど踏ん切りをつけて終わりにしたと。
『それでも納得がいかなければ、あなたの思うとおりにしてください』とフィルに言うと、フィルは許してくれた。けれどそれは彼の中で大きなしこりになったと思います」
大きなお腹を抱え、フィルと結婚式を挙げた。シンシアが「お姉さん」と慕う、黒人男性と結婚した女性が介添人に。
「結婚式を挙げたのは横須賀のお寺で、お姉さんもやはりそこで式を挙げたそうです。私は妊娠8か月になっていました。大きなお腹を無地のワンピースで隠し、彼はスーツ姿でキメています。座布団を6枚敷いて、私の親族席には2人の妹たちが座り、フィルの親族席にはお姉さんたちが代わりに座ってくれました。
パーティーはライブバー『マジック』の系列店『よいどれ伯爵』が会場で、私はここではウエディングドレスとしてサリーを着ています。いろいろありはしたけれど、そのときは、『この人と一緒になるんだ』という喜びでいっぱいでした。友人も大勢駆けつけてくれて、パーティーは盛り上がり、私たちは幸せな新婚カップルそのものだったと思います。
両親にも挙式を知らせはしたが、結局返事はないままだった。式を終えてしばらくたったころ、突然2人そろってアパートにやってきた。
「どんな暮らしをしているか、様子を見に来たようです。母が、『こんなマッチ箱みたいな家に住んで! これでアメリカでもどこでも行っちゃいなさい』と言い、紙袋を叩きつけて帰っていきました。袋の中には現金が50万円入っていました」(次回に続く)
<取材・文/小野寺悦子>