実質的には“新番組”というより“リニューアル”
世界を目指したい強い思いがあった平野を中心とした、それぞれの目指す方向性の違いが、今回のキンプリ分裂の発端になった。
「どのグループも、ひとりでもメンバーが抜けると多少なりとも雰囲気に変化が出ることが多いです。なので、5人中3人が脱退したことで、グループが停滞する危機感は彼らも確実に抱いたでしょう。永瀬さんと高橋さんが、これまで雑誌のインタビューなどで“世界を目指したい”と話していたことは、当時は嘘でなかったのだと思います。でも、今はまず国内で積極的に活動することで、日本での人気を落とさないことを第1目標にしているのではないでしょうか。もちろん、すべての可能性を捨てたわけではなく、世界へのチャンスが巡ってきたらつかんでいくことを期待したいですが……」
新たな一歩を踏み出した2人。これまで5人で行っていた仕事はどうなるのだろうか。
「冠番組『King & Princeる。』は、5月20日の2時間スペシャルで番組が終了しました。しかし、新番組『キントレ(仮)』は同じ枠で放送され、SNSアカウントも引き継がれます。実質的には“新番組”というより“リニューアル”なのでしょう」(前出・テレビ局関係者)
それならば、番組を終わらせなくてもよかったのでは?
日本テレビに前番組を終了させて『キントレ(仮)』を立ち上げた理由を問い合わせたが、「番組の制作過程はお答えしておりません」との回答だった。『Honda』や『UHA味覚糖』など、5人でのCMもあった。
「どの企業も5月22日までに契約が終了しており、今後は未定というのが現状のようです」(広告代理店関係者)
前出の霜田さんは、2人のさらなる飛躍に期待を寄せる。
「これまで、ジャニーズ事務所の正規グループの2人組は、KinKi Kidsとタッキー&翼という、Jr.時代から人気を誇って満を持してデビューした人たちだけなんです。大人数のグループだと、テレビなど時間が限られたメディアでは個々の良さが伝わりづらい面もあります。個々としてもグループとしても良さを発揮できる人数でもあると思うので、楽しみです」
また、こんなメリットもあるという。
「我慢することが減ると思います。例えば、嵐の松本潤さんは、'20年末のグループ活動休止まで走りきるため、『どうする家康』のオファーを先送りにしていたそうです。ほかにも、グループの仕事を優先して諦めた映画や舞台、ドラマが、裏ではたくさんあると思うんです。2人ならば多少はスケジュールが合いやすくなるので、グループ活動をしながらでも、大作映画やドラマに、コンスタントに出演することができるでしょう」
“2人組”の大先輩もこの道筋をたどっていて……。
「KinKi Kidsも初期は常に光一さんか剛さんのどちらか、ないしは両方がドラマに出演しながら、頻繁に曲をリリースしていました。キンプリも個人の認知度を高めながら、グループ活動も充実させることができると思います」
新生キンプリは“なにもの”にでもなれそう!
霜田明寛 文化系WEBマガジン『チェリー』編集長。ジャニーズに造詣が深く、テレビやラジオにも多数出演している。'19年には『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)を刊行