テレビと比べて、ラジオは多種多彩な番組が存在する。
「テレビはひとつの番組を作る際に、大勢のスタッフが関わりながら、万人受けするコンテンツを見つける作業になっていきます。ラジオはディレクターとパーソナリティーがいれば成立し、少人数だからこそコアなファンを得るようなコンテンツが生まれやすいのです」
業界人にも多い“リスナー”
その分自由度が高く、個性を発揮しやすいが、トーク力や頭の回転の速さ、リスナーやスタッフとの連携などの技量が重要ともいえる。
「そんな現場で活躍できる実力がつけば、テレビなど他のメディアや現場でも評価されるんだと思います。それで息の長い活躍につながるのでしょう」
さらに、ラジオで活躍する芸能人がブレイクする背景には、業界人にもラジオリスナーが多いことも関係していると推測する。
「TBSラジオ『ハライチのターン!』ではハライチ2人のキャラがよく出ています。澤部さんは愛妻家であることや子ども3人の面倒を見る話をしており、それがフジテレビの『ぽかぽか』のMC抜擢につながったのかもしれません」
同じく『空気階段の踊り場』(TBSラジオ)も業界ファンが多い番組だという。
「コンビがそれぞれ当時付き合っていた彼女に公開プロポーズするなど、身体を張った企画がコアなファンに支持されました。CDレンタル店でアルバイトしていたという鈴木もぐらさんの選曲も好評ですが、銀杏BOYZの峯田和伸さんやザ・ハイロウズの甲本ヒロトさんなど、有名ミュージシャンも彼らのラジオを聴いていることが知られています」
鈴木はその後、甲本ヒロト(60)との対談も実現している。今後ラジオで活躍し、息の長い活動をしそうな芸能人は?
「芸人になりますが、TBSラジオのポッドキャスト配信で金の国、真空ジェシカなどに注目しています。ラジオ関西のポッドキャストで配信しているマユリカも期待しています」
多様性のあるラジオ番組は今の時代に合う。ラジオから火がついた根強いファンを持つ有名人が多出する予感!
きぬわ・しんいち メディア研究家。雑誌『TVガイド』やニュースサイト「ORICON NEWS」など多くのメディアで執筆するほか、制作会社でのドラマ企画アドバイザーなど幅広く活動中
取材・文/諸橋久美子