2015年のトンガ王国のトゥポウ6世の戴冠式でも会場の教会の前に集まった女子学生たちから、
「マサコ! マサコ!」「ニホンアリガトウ!」「またきてね」
というたどたどしい日本語と多くの歓声に包まれた。雅子さまは、ビジューがちりばめられた華やかなドレス姿で、彼女たちに応えるような満面の笑顔だった。
愛子さまからの手作りケーキとお祝いのカード
前回のオランダ国王の即位式(2013年)では、式典のみのご出席で、それ以外はホテルから一歩も外出なさらなかったのと比較すると大きな違いがあった。
「この2年間、雅子さまはとても努力をなさってご病気と向き合われてきたと感じました。トンガ王国の王族方や関係者をはじめ、晴れわたった青い空と大きな歓声すべてに優しく迎えられているようでした。心身の不調には孤独感が大敵といわれていたので、トンガに行かれたことは大きな自信につながったのではないでしょうか」(元東宮職)
そして、雅子さまは皇后となった今でも国民と寄り添い合われている。両陛下は6月3日と4日に、再び東北へ向かわれた。岩手県で開催された『第73回全国植樹祭』にご出席されたのだが、同県への訪問は2016年以来、実に7年ぶりとなる。
一昨年の3月にも陸前高田市をオンラインで視察し、被災者たちの話に耳を傾けられ、言葉を交わされた。今年も復興の象徴として知られる『奇跡の一本松』を視察したり、『東日本大震災津波伝承館』で被災者と懇談されることを心待ちになさっていたという。
帰京されてからは、ご結婚記念日に皇族の方々を交えてのお食事会などは行わない予定で、両陛下と愛子さまだけのつつましやかな夕食となるそうだ。毎年、記念日には、愛子さまが手作りケーキとお祝いのカードを贈られるというが、今年も30周年を記念して、温かいメッセージが届けられることだろう。
取材・文/友納尚子 1961年生まれ。新聞・雑誌記者を経て独立。雅子さまのご病状について、皇太子妃時代に初めてスクープ。著書に『ザ・プリンセス 雅子妃物語』『皇后雅子さま物語』(文春文庫)などがある