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ー モモレンジャーをやるとは知らなかった
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ー ずっと心にモモレンジャーがいるような状態

「モモレンジャー役の募集は“脚が出せる人”だったんですって。そういうファッションが好きだったから、ちょうどよかったのかも」

モモレンジャーをやるとは知らなかった

 そう笑うのは小牧りさ。'75年に放送された、現在も続く戦隊シリーズの第1作『秘密戦隊ゴレンジャー』(テレビ朝日系)でモモレンジャーを演じていた。当時は視聴率20パーセントを超えるほどの人気ぶり。

 小牧はチャーミングな見た目とは裏腹に、ホットパンツ姿で大胆なアクションを行い、子どもたちをメロメロにした。放送から48年。小牧に『ゴレンジャー』時代の裏話から現在に至るまでを語ってもらった。

もともと、子どものころは歌手になりたくて、でも大きくなるにつれて“お芝居をしたい”と思うようになりました。中学では演劇部に入って、主人公の妹役やネズミの役をやったり(笑)。楽しくて、もっとお芝居をしたいと思ったんです

 その後、高校生になると同時に大阪から東京へ。なかなかチャンスをつかむことができなかったが、あるとき転機が訪れた。

友人との旅行の帰りに、具合が悪くなった外国人の女性を大使館まで連れて行って、介抱したんです。女性とはそれがきっかけで仲良くなって。ホテルでお茶をしていたら、突然、芸能プロダクションの人にスカウトされたんです。不思議な縁ですよね(笑)。悩んだんですけど、所属することにしました

『モモレンジャー』放送時の小牧りささん(写真提供:I&Iファクトリー)
『モモレンジャー』放送時の小牧りささん(写真提供:I&Iファクトリー)

 その後、サスペンスドラマ『非情のライセンス』や『ねぎぼうずの唄』などに出演し、ついに『ゴレンジャー』に抜擢されるのだが……。

実は私、自分がモモレンジャーをやるって知らなかったんです(笑)。あるときマネージャーに“仕事が決まったから撮影所に行ってくれ”と言われて。

 仮面ライダーにも、女の子が何人か出ていたりするから、そのうちの一人だと思っていたんです。そうしたら急に男性4人と私が呼ばれて、ヒーロー役だということを知って。メインキャラだとは思っていなかったので、驚きました(笑)」

 当時、女性でヒーロー役というのは珍しいこと。不安はなかったのだろうか?

「それが、あんまりなくて。アクションをやってみたいと前から思っていたので、うれしかったですね。撮影の前にアクションシーンの練習があったんですが、それは大変でした。女性だからといって男性陣に遅れを取りたくないし、同じレベルでいなきゃいけないですから。でも、バレエをやっていたので脚は上がるんです。そのおかげでキックはうまくできて、監督に褒められました

 努力のかいあって、『ゴレンジャー』は大人気に、特に子どもたちからの人気は絶大だった。

ファンレターをもらったり、撮影でロケがあると子どもが集まってきたり。今でも覚えているのは、子どもに小さなぬいぐるみをもらったこと。一度は断ったんですが、すごく悲しそうにしていたので、やっぱりもらいました。大事なものだろうに、それだけ応援してくれてるんだと感じて、うれしかったですね