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ー 妖精というよりもまるで黒魔術師な姿が物議

 

 ディズニーの最新作『リトル・マーメイド』が6月9日から全国で公開された。

「ヒロインのアリエル役に黒人のハリー・ベイリーが抜擢された途端、世界中から批判の声が目立ちました。韓国ではインスタグラムに『#NotMyAriel(私のアリエルではない)』というハッシュタグとともに、映画が台無しとの投稿がSNS上に相次ぐ事態に。

 中国では“私にとってアリエルは白人”などと差別的なコメントがレビューサイトに多く書き込まれました。

 一方、米国内ではアリエルを歓迎する声も多く、公開から2回目の週末で全米ランキング2位に躍り出ています。日本国内でも不満の声はありますが、ハリーの歌唱力を評価する声も多く、中立的な感想を持つ人が多いようです」(映画ライター、以下同)

 ここのところ、

ディズニー作品に迷走が続いている」

 とは先の映画ライター。

「大ヒット映画『トイ・ストーリー』シリーズのスピンオフ作品である『バズ・ライトイヤー』は同性愛などを入れ込んで批判を浴び、興行収入的にも“大コケ”の烙印を押されました。差別的表現に配慮しすぎた結果だと言わざるをえません」

妖精というよりもまるで黒魔術師な姿が物議

 同性カップルを入れ込むのは不自然なことではないが、ヒロインやキャストが悪目立ちしすぎて“作品に集中できない”と酷評されたのが、昨年公開された実写版『ピノキオ』である。

 ロバート・ゼメキスが監督を務め、ゼペットじいさん役には名優のトム・ハンクスと豪華キャストは申し分ないように思えたが。

「“子どもが『ハゲのおっさんが妖精で怖い!』と泣いた”というSNS投稿が話題になりました。妖精のブルーフェアリーは原作では白人の青く美しい妖精なのですが、映画版で出てきたのは頭をそり上げた中性的な黒人女性(シンシア・エリヴォ)でした。

 ブルーフェアリーはピノキオの人間になりたいという願いを聞き入れ、人間の子どもにしてくれる大事な役どころ。絵本やアニメでは柔らかい雰囲気の金髪の女性です。人種差別などではなく、なぜ善人なのか悪人なのかわからないような姿にしたのか。この作品のブルーフェアリーは妖精というよりもまるで黒魔術師です

実写版『ピノキオ』('22年)の妖精・ブルーフェアリー(シンシア・エリヴォ)(Disney+より)
実写版『ピノキオ』('22年)の妖精・ブルーフェアリー(シンシア・エリヴォ)(Disney+より)

 昨今のルッキズムに配慮したのか、一部の国では“異常な改変”まで起きている。

「アメリカのメリーランド州で上演されているミュージカル『美女と野獣』では、美女役のベルが野獣ビーストよりも恰幅の良い黒人女性が演じています。これには“どっちも野獣に見える”などのコメントが相次いでおり、作品の世界観そのものが壊されてしまった。これをディズニー側が許可したのだから、公認のベルなのでしょう」

ミュージカル『美女と野獣』のベルは、ビーストよりも恰幅が良い(オルニー・シアター・センターのユーチューブより)
ミュージカル『美女と野獣』のベルは、ビーストよりも恰幅が良い(オルニー・シアター・センターのユーチューブより)

 夢がテーマのディズニーなのに夢のない世界を延々と見せられているようだ……。