広末の今後は?

 井上社長にとっても広末は同志だったのだろう。同社長が広末と1998年にフラームを設立したのは知られているが、その前の2人は芸映に所属していた。芸映は故・西城秀樹さんや浅田美代子(67)、岩崎宏美(64)、河合奈保子さん(59)らを輩出した老舗有力芸能プロだ。井上社長と広末は老舗の看板がなくても成功できることを証明しようと躍起になったのかも知れない。

 その目標は達成されて、現在のフラームには戸田恵梨香(34)、有村架純(30)、吉瀬美智子(48)、田中みな実(36)らが所属する。急成長し、女優専門の準大手芸能プロと呼ばれるようになった。新人の売り出しには広末も一役買った。

 たとえば2013年に広末が主演したフジテレビ系(制作・関西テレビ)の連ドラ『スターマン・この星の恋』には、まだ知名度が十分でなかったころの有村も出ている。広末という人気者がいたから、後輩たちもドラマに出演しやすくなった。

 同社ホームページで紹介される筆頭の所属女優はずっと広末である。井上氏と2人で旗揚げしたのだから当然だ。会社からも特別扱いを受けてきた。スキャンダルから守られたのみならず、NHK連続テレビ小説『らんまん』への出演など良い仕事を常に用意されてきた。

 もっとも、現状を見ると、特別扱いが広末の考えの甘さを招いてしまったのかもしれない。何をやろうが、なんとかなる、そう無意識のうちに思い込んでしまったのではないか。

 フラームは広末を斬り捨てはしないだろう。広末のためにつくられ、大きくなった会社なのだから。広末も同社と袂を分かつつもりはない。『週刊文春』6月29日号で「もしも井上と仕事をしないのであれば、この世界、この業界を去る時かなと」と語っている。

 従来のままでは仕事先も広末への不安が消えないだろう。そうならないためにはフラームが特別扱いをやめ、本人に強く自重をうながすか、あるいは広末がそろそろ自ら筆頭女優の自覚を持つしかないのではないか。

 6月21日、フラームのエース級女優の1人である戸田がAmazonのセールのPR会見に出席した。5月に夫の松坂桃李(34)との第1子誕生後、初の公の場で、ママとなった日々を笑顔で明かした。

 だが、広末のスキャンダルのニュースが大きく報じられたため、戸田の記事は片隅に追いやられてしまったように思う。筆頭女優らしくない。

取材・文/高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)放送コラムニスト、ジャーナリスト。1964年、茨城県生まれ。スポーツニッポン新聞社文化部記者(放送担当)、「サンデー毎日」(毎日新聞出版社)編集次長などを経て2019年に独立。