花江さんはソロになり司会や女優として活躍
花江さんはソロになり司会や女優として活躍
【写真】上方漫才大賞を受賞した頃のかしまし娘

照枝姉ちゃんは母の死に目にはあえず

 漫才トリオでなくなっても、姉妹であることには変わりはなかった。

私が9歳のときに産みの母が亡くなってから、叔母が父と結婚し、ウチらの“お母さん”として暮らしてくれてたんですけど。照枝姉ちゃんが“お母さん”と一緒に住んで、ずっと面倒見てくれたんです。私もよう行き来してました。最期も一緒に見送ったんです。

 照枝姉ちゃんは東京で舞台があって私も大阪で舞台稽古があったときでした。ウチが朝、母の部屋に行って、髪をカットしてあげて、部屋の掃除もして。“キレイになったね”と言った、その夜に亡くなったんです。

 照枝姉ちゃんはその日が舞台の千秋楽で、死に目にはあえなかったけど、お通夜には戻ってこられた。“お母さん”は、ウチらの仕事に迷惑がかからん日に、逝きはったんです

 歌江さんのすすめで結婚し、長らく連れ添った夫は、20年ほど前に見送った。

肝臓がんでした。お医者さんに、何度もお酒をやめなさいって言われてたんやけど。本人が好きで飲んでるもんを、私はやめなさいって言うのはイヤでね。死ぬまで飲んではりました。姉たちに、“あんたは旦那さんの前でだけ、しおらしい声になる”って言われてたぐらい(笑)、なんでも“はい、はい”って言うてたんですけど。

 夫が定年退職になった後、“商売をやりたい”って言ったことがあって、そのときは“うまくいくわけないから”って反対してしまった。でも病気になってつらい思いするんやったら、やらせてあげたらよかったなぁって、それは後悔しましたね」

 哀しい別れもありながら、時は流れて、2005年。かしまし娘としての活動休止から24年目、3人はまた集結することになった─

構成・文/伊藤愛子●いとう・あいこ 人物取材を専門としてきたライター。お笑い関係の執筆も多く、生で見たライブは1000を超える。著書は『ダウンタウンの理由。』など