天然キャラたちの特徴
2人ともスター選手だが、どこか天然なのはなぜなのか。脳内科医の加藤プラチナクリニック・加藤俊徳院長に話を聞いた。
「いわゆる“天然キャラ”と呼ばれる人たちは、集中力の波の高低差が大きいということがいえます。このような人たちは、過度に集中しすぎてしまったり、その後はボーッとしたりと、落差が激しくなります」
スポーツに大切な臨機応変さにも優れているようだ。
「その場の状況に反応して、自己表現をするのが得意な傾向があります。スポーツなど、多くの人が集まって行動するときに、一般的な人は他の人と同調します。一方で、天然キャラの人たちは同調しつつも自分らしさを出すことができます。見方を変えれば、臨機応変に対応できるということで、スポーツにおいては重要な能力、それが卓越しているのです。過去の記憶や経験したことに依存せず、その場でどうやったらうまくできるか、ということを考えて行動する創造性が高いのだと考えられます」(加藤先生、以下同)
天然キャラの人たちには、ほかにも特徴がある。
「手順に従うのが苦手な傾向があります。一般の人は、手順を教えられたらそのとおりにやります。しかし、天然キャラの人は自分の脳が最大限の働きをするように自己流のアレンジをしてしまうのです。こうした自分の脳の最大限のパフォーマンスを出そうとすることが、スポーツなどの場においての結果につながっていきます」
これには脳の発達が関係してくるようだ。
「無数の神経細胞が集積している脳は、同じような働きを担う神経細胞同士が集まって、成長していきます。人によって能力の長所と短所は違ってきますが、天然キャラの人たちは、この強みと弱みの差が激しいと私は考えています。平均より突出した部分があれば、反対に平均以下なことも。そうした脳の成長の極端な違いが、天然スター選手にはあるのだと思います」
野球では前人未到の記録を打ち立てていく一方、凡ミスもする大谷。そのギャップも愛される要因なのだろう。
梅田香子 スポーツライターとして、野球以外にもフィギュアスケートやバスケットボールなど多くのスポーツに精通。現在はアメリカに在住し、大リーグを中心に取材活動を行う
加藤俊徳 脳内科医。加藤プラチナクリニック院長。独自開発したMRI脳画像法を用いて、子どもから104歳まで、1万人以上の脳を診断、治療。『すごい脳の使い方』(サンマーク出版)など著書も数多い