次に、個別の菓子分類ごとの順位を見ていきたい。【アイスクリーム・シャーベット】部門では金沢市が1位で、2位のさいたま市、3位の福島市までは2回連続で同順位。

「実は、金沢市はアイスが安く手に入るという事情も関係していると思います。スーパーなどでは通年で値引きされていて、よく売れるからこそ特売品になりやすく、薄利多売でも儲けることができるという循環になっています。先述の気候とともに消費しやすい文化が醸成されている点も、金沢でのアイス需要が高い一要因なのでしょうね」

 また、気になるのは【ゼリー】部門で、盛岡市は過去10回にわたって1位の座に君臨し続けている。【カステラ】部門の1位が言わずと知れた長崎市であるのに対して、盛岡市は密かに日本のゼリー市場を牽引し続けている、謎のゼリー大国なのだ。

「今回は東北3県の秋田市、仙台市が上位に入っていますが、いずれもきれいな水が手に入る酒どころでもありますよね。高品質な果物もありますし、何よりきれいな水があることが盛岡市でのゼリー人気を後押ししているのかもしれません」

【プリン】部門は、さいたま市、横浜市、宇都宮市が2回連続でトップ3に。また【ケーキ】部門は金沢市、さいたま市、富山市が同じく2回連続でトップ3入りを果たした。

「さいたま市は総合でも2位に入っていますが、首都圏でもあり、トレンドに敏感な県民性を表しているのかなと思います。新商品のスイーツが一気に流行ったり、都市部の人気店が次に進出するのは埼玉県が多いという流れがあったりもするので、そういった新しいもの好きな気質も影響しているのかもしれませんね」

 続いて和菓子の項目も見ていこう。

【まんじゅう】部門は1位が福島市で、鳥取市、鹿児島市が続く。上位3位は前回同様の顔触れだ。

「薄皮まんじゅうやふろしきまんじゅうなど、各県がご当地まんじゅうを抱えているなかで、上位3都市は全国平均の2倍以上の支出額となっていますね。近年はあんこにいろんなフレーバーを混ぜたものなども出始めていて、若者にも和菓子人気が起きつつあります。そういった勢いも取り入れながら、順位が今後どう変動していくのかも楽しみです」

【ようかん】部門の1位は福井市、2位は佐賀市。過去の統計では両市が支出額1位を奪い合う熾烈な争いが長らく続いているが、今回は福井市に軍配が上がったようだ。

「長崎からのシュガーロードの文化もあり、佐賀の小城ようかんは有名ですが、福井ではつるんとした水ようかんなども人気のようです。同じようかんやまんじゅうといっても、詳しく見てみると微妙な差異があったりするので、各地の文化の違いを知ることができるのもこのランキングのおもしろさかもしれません」

【せんべい】部門は、今回トップ3の水戸市、福井市、宇都宮市のほか、山形市、福島市などの米どころが上位5位の常連組だ。また、【スナック菓子】部門では、2回連続の1位が鳥取市で、そのあとに金沢市、岐阜市、山口市、高知市と続く。

「せんべいといえば草加せんべいなどがパッと思い浮かびますが、さいたま市はトップ5圏外。今回のデータは都道府県庁所在市というくくりですが、全市町村を対象に調べるともっと順位も変動しそうですね。米どころでせんべいの支出が多いのは納得ですが、スナック菓子と同様に間食文化という意味でも、手の空いた時間にテレビを見ながらつまんでいるような暮らしぶりが目に見えるようで、おもしろい顔触れです」