賞味期限より自分の舌を信じてる
「でも、やらかすこともしょっちゅう」と阿川さん。例えば、「冷凍ハンバーグ事件」。
ある日、夕食のメインは冷凍しておいたハンバーグにしようと、夫婦でワインを傾けつつ、トマトサラダに特製コーンスープ、チーズを食べた。
「さて、いよいよ肉を焼こうと保存袋から出してみたらね、その茶色いかたまりは、ハンバーグじゃなくて、おはぎだったの! 冷凍庫の奥に入っていたそれを、小ぶりのハンバーグの冷凍ストックだとばかり思ってたわけ(笑)」
仲の良い夫婦の笑い声が聞こえてくるようなエピソードだ。
2つ目は、「ココナツミルク事件」。
作り置きしてあった牛すね肉のポトフを“味変”させようと思いつき、冷蔵庫にあった使いかけの缶詰のココナツミルクを鍋に加えて煮込んだ。完成したココナツ風味のビーフスープは、おいしいと夫にも好評だったが──。
「しばらくしたらお腹が痛くなってきちゃって。それで思い返してみると、あのココナツミルク、使った残りを缶のまま冷蔵庫に入れてたし、表面もちょっと黄色くなってた。
でも、どうせ煮込むんだから、ちょっとくらい腐ってても大丈夫でしょと思って、変色してた部分だけすくって捨てたんだけど。あれがまずかったのかもね(笑)」
ちょっとヒヤッとするうっかりエピソードだが、阿川さん自身はそれほど気にしていない様子。
「牛乳の賞味期限も、ちょっとくらい過ぎてたって……ね。前にもスープに入れたあとでにおいをかいで、ちょっと古かったかな〜と思ったから、こしょうを山のように入れてごまかしました。基本、賞味期限より、自分の舌を信じてるから!
ただし、つじつま合わせの現場は、家族には見られないようにしますけど(笑)」