まともに捜査されず闇に葬られた
「種雄が亡くなった時も、まともに捜査されず闇に葬られ、諦め生きてきました。それが事件から12年後に再捜査していただけると連絡があった時には心から喜びました。種雄の無念を晴らしてやると息子に誓いました。しかし、捜査が始まり1年も経たないで捜査の縮小が告げられ、捜査1課の捜査班は解散され、大塚警察署へと管轄が移ってしまいました」
そして、ときおり涙を流しながら、息子についてこんな思いも口にした。
「種雄は中学に入学すると不良とつるむようになり、暴走族に入ったこともありました。高校時代からは雑誌モデルとして活躍していたこともあります。やんちゃな子でしたが、家族想いで、約束は必ず守り、人情に厚く、弱いものいじめだけはしなかった。
そんな種雄は誰からも好かれ、地元の先輩や後輩にも頼られ、亡くなった今でも“種雄のためなら”と、この解明されない真相のために、私たち家族とともに悔し涙を流してくれる子がたくさんいます。
命日には花を送ってくれたり、種雄に会いに来たと言って、私と酒を酌み交わしたり、種雄の残してくれたものは計り知れないです。子どものころは厳しく育ててきましたが、友だちに父親である私のことを自慢していたということを聞いた時には涙が止まりませんでした。種雄は私たちの大切な、大切な息子です」
安田さんの遺族は、7月17日、警視庁大塚署の署長に宛てて、事件の再捜査を望む上申書を提出した。木原官房副長官は、『週刊文春』の取材に対し「事実無根」と回答している。
遺族の無念を晴らすためにも、適切な再捜査によって事件の真相が明かされることを願う――。