腸活のために発酵食品や整腸剤をできるだけ多くとる
「善玉菌を増やすために善玉菌のエサを食べよう」というのがこれまでの腸活の考え方だが、実はその腸活のやりすぎが、逆に腸の不調を招く場合があるという。
「腸内細菌のエサになる食物繊維を過剰に食べすぎたり、発酵食品や整腸剤をとりすぎたりすると、本来大腸にいるべき腸内細菌が小腸に流入してくる『SIBO(小腸内細菌増殖症)』を引き起こす可能性があります」
と言うのは、腸内環境に詳しい国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の國澤純さん。SIBOになると、お腹が張って苦しい、下痢や便秘といった症状を引き起こし、腸内環境をよくするために行ったことが逆効果になってしまう。
「整腸剤や腸内細菌のエサになるようなものを一度にたくさんとりすぎるのは要注意。日々適量をとることが大切です」
サプリメントで不足した栄養素を手軽に補給
身体のためと思って飲んでいるサプリメントも、かえって身体に悪影響を及ぼすリスクが。特に問題なのが、病院で処方された薬とサプリの飲み合わせだ。
「日本医師会では、服用している医薬品とサプリの相互作用で思わぬ健康被害が発生することがあると広く注意を促しています。中には、薬物性肝障害などの重篤な副作用を引き起こすケースもあります」
と言うのは、アクアメディカルクリニック院長の寺田武史医師。
相性の悪いものだと、例えば、人気のEPAやDHAなどオメガ3系脂肪酸サプリやゴマに含まれるセサミンと、高血圧の薬との飲み合わせ。併用すると血圧を下げすぎてめまいや立ちくらみを起こし、意識を失うおそれもある。
「思いもよらない副作用を未然に防ぐためにも上の表でご自身の飲み合わせに問題がないかチェックしてみてください。常用しているサプリなどをお薬手帳に記載し、かかりつけ医や薬剤師に報告することも大事です」
頭痛のときは市販の痛み止めで様子を見る
ドラッグストアで手軽に入手できる痛み止め。安全なイメージもある市販薬で、頭痛や生理痛などの痛みを和らげたいときに使う人も少なくないだろう。だが、安易に使ってはいけないと、太融寺町谷口医院院長の谷口恭医師は警告する。
「最も危険なのはブロモバレリル尿素という成分の入ったタイプの痛み止めの薬。依存性がきわめて強く離脱が非常に難しい成分で、自殺に使われることすらある劇薬です」(谷口医師、以下同)
ブロモバレリル尿素が入ったタイプ以外にも、エヌセイズとアセトアミノフェンという成分が入ったタイプもあるが、いずれも依存症だけでなく、胃腸障害や腎障害、血圧上昇、心臓への負担などのリスクがある。
最悪の場合、死に至るケースもあるので、十分注意して服用すべきだ。
「痛み止めを服用する場合は、週に2日まで、1か月で考えるなら10日までにしてください。それ以上は依存症になる危険性が非常に高くなるので、必要なら必ず医師に相談してください」
花粉症の目のかゆみ皮膚科の目薬でしっかりケア
花粉症のシーズンに、耳鼻科や皮膚科で目薬を処方してもらう人は注意が必要だ。
「花粉症の目薬には、抗アレルギー薬とステロイド薬の2種類があります。ステロイド薬のほうが効果を実感しやすいので希望する患者さんが多いのですが、使い方を誤ると緑内障や白内障になるリスクがあります」
と、二本松眼科病院副院長の平松類医師は言う。軟膏のステロイドでさえ、目の近くで塗り方を誤れば失明の危険があるという。
アトピー性皮膚炎で処方されたステロイド軟膏を目の周りに塗り続けた20代の女性は「なんとなく見えにくい」と眼科を受診すると、眼圧が40台と高く、視野欠損もかなり進んでいた。すぐにステロイドを中止し、緑内障治療を行って視力の悪化は食い止められた。
「ステロイド目薬は、症状が落ち着いたらなるべく早くやめたいもの。抗アレルギー薬でも、眼科以外で処方された目薬を2週間使って症状が改善しなければ、眼科を受診してください」