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ー 強豪チームではありがちなこと

 

「容疑者はめきめき頭角を現してきたディフェンスの選手だった。将来を嘱望されていたのに、なぜこんなことをしたのか」(スポーツライター)

 警視庁は5日、日本大学アメリカンフットボール部の学生寮で、乾燥大麻と覚醒剤成分を含む錠剤を所持していたとして、同部員の北畠成文容疑者(21)を大麻取締法違反と覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕した。

『アメフト部の寮内で大麻を使っている部員がいる』

 およそ1年前、部員の保護者から大学側へと情報は寄せられていたのだが、

大学側は警察関係者に相談したところ、犯罪の立証は難しいという判断に。そのため、容疑者を退部にも退学にもせずに放置していた。

 だが再び保護者から警察へ情報提供があったため、事件が発覚したのです。日大は悪質タックル事件や元理事長の脱税が立て続けに起きて、大学のガバナンスを一新していた。だが、この騒動に機に再び同大の隠蔽体制が問題視されている」(全国紙社会部記者)

 北畠容疑者の背景を取材した。容疑者の祖父は岡山県出身。故郷を出て、兵庫県姫路市で、建設関連の個人事業を営み、そこで容疑者の父親が生まれる。父親は富士大学を卒業すると、別の建設関連会社に勤務。兵庫県芦屋市の集合住宅に住んでいたのだが1995年、阪神淡路大震災に見舞われてしまう。

「風呂なし、木造の古い住宅でね。全壊してしまって、死人まで出てしまったぐらいだった」(近所の主婦)

 同県神戸市灘区へ移り住み、20代後半で結婚。当初は賃貸アパートでの生活だったが、2000年ごろ、同区の分譲マンションを購入。夫婦は子宝に恵まれ、そのうちのひとりが次男の成文容疑者だった。

 成文容疑者が6歳のとき、一家は岡山県岡山市北区にある賃貸の一戸建てに移り住む。

「子だくさんのお宅で、毎日、にぎやかでしたよ。その中に、彼(容疑者)がいたのも、かすかに覚えています。庭でよくバーベキューをやっていましたね」(近所の主婦、以下同)

 一家は3年ほどで再び引っ越し。その後、成文容疑者がどこでどのような生活をしていたのか、足跡は途絶えてしまった。

強豪チームではありがちなこと

 容疑者が「大麻のことはほかの部員も知っていた」と供述していることから、前出のスポーツライターが“こんな可能性がある”と話す。

「控えや補欠の選手が親に報告して、レギュラーを追い落とすために、親が学校側へ告げ口したということも十分に考えられます。親は学校側の対処に納得できず、警察へ密告したのでしょう。部員数の多い強豪チームにありがちなことです」

 スポーツの世界だけに正々堂々と戦ってほしいものだが、そもそもルールを破ったのは北畠容疑者。エリート選手が道を踏み外してしまった。