出店増加の背景事情

「おにぎり専門店の出店が続いている理由はいくつかあります。おにぎりだけに限りませんが、まずコロナの影響によるテイクアウト需要の高まり。またテイクアウト自体にコロナ以前に比べて人々が慣れたこと。

 これは唐揚げ専門店ブームと同じ理由になりますが、おにぎりだけなので、オペレーションも比較的簡単かつ、テイクアウトのみであれば省スペースで出店できることも大きいですね」

 さまざまな商品で材料費が高騰している昨今だが、

「お米については輸入物でもないですし比較的、価格が安定している。また大きな理由としておにぎり自体、食パンやタピオカなどと異なる日本人にとってのソウルフード的メニューであり、個人店レベルでは『ぼんご』を筆頭に行列ができるような成功例も存在している。そのあたりも注目されている理由でしょう」

 高級食パン、唐揚げなどは一時のブームでできた店の閉店も目立つ。タピオカ専門店に至っては、ほぼ街から姿を消したといっても過言ではない。では、ブームの兆しを見せるおにぎり専門店の未来は……。

「唐揚げのように飲食大手がおにぎり専門店にこぞって参入した場合、味は当然のことですが、どれだけ“ブランド化”できるかが重要でしょう。その意味でスニーカー王は非常に賢い戦略を取っている。すでに大人気店のブランドを使っているわけですし、おにぎりに関するノウハウも使える。

 おにぎり専門店という形態自体は参入しやすいわけですが、それだけに抜きん出ることが難しい。繁盛店のスタイルだけをパクった味の落ちる店が増えるかもしれませんが、そうなると唐揚げ専門店の現状のように、おにぎり専門店という形態自体が十把ひとからげに捉えられ、大きなブームにならずに衰退していく未来も考えられますね」

 おにぎりは新たな食のブームになるか、はたして。