古民家を再生、畑料理の体験施設に
「実家では昔から干し柿をつくっています。ものすごい量で作業も手間なのですが、せっかく実ってくれたから保存して食べきりたいんです」
そんな財前さんのライフスタイルはテレビなどでも紹介され、コロナ禍が明けても田舎暮らしに憧れる人に向けての取材は途絶えないという。こうしたニーズや、自身と家族で体験してきた田舎暮らし、畑仕事の魅力をさらに発信する拠点をつくりたい思いもあり、現在は畑に隣接する築133年の古民家の建て直し作業にも取り組む。
「番組の企画がきっかけで、先祖代々受け継いできた建物を再生することになりました。梁(はり)や煤竹(すすだけ・茅葺き屋根や天井から取れる竹)などから使える木材を取り出し、この先100年持つ家になるよう手直しをしたんです」
アーク溶接の免許も取得。家のレンガを張ったり、息子と一緒に手洗い鉢を作ったり、古いタンスを生まれ変わらせたりも。大工に指導を受けながら、金槌など道具の重さや釘打ちの大変さを味わい、タイルを張るために1ミリ単位で水平を取るなど、家づくりの醍醐味を親子で味わっている。
畑仕事や古民家再生を含め、何事も「体験をすることの大切さ」を息子にも伝えてきたという財前さん。
「田舎には、お釜でご飯を炊いたり、ピザを焼く窯もつくりました。まだイメージの段階ですが、誰もが気軽に畑で収穫して料理ができるような施設にして、田舎暮らしの体験企画などもやってみたい」
大先輩から昔からの知恵を学べたり、その孫が遊びに来られるようなお楽しみを考えたり、と構想があるよう。
「学校では教えてくれないけど、生きる上で大切なことを学べる。そんな場になればと考えています」
(取材・文/野中真規子)