美奈代さんが発症した卵巣嚢腫とは、卵巣にできる腫瘍のこと。この病気には4種あり、透明な液体がたまる漿液性嚢腫、ゼラチン状の粘液がたまる粘液性嚢腫、卵子の分裂によってできた歯や毛髪などの組織が含まれた皮様嚢腫、そして古い血液がたまるチョコレート嚢腫がそれだ。
腹腔鏡手術を選んだ理由
発症してもその8割は手術をすれば治るという良性の腫瘍だが、発症原因は不明で、大きくなると他の臓器を圧迫し、破裂する可能性もある。20~40代に多く見られ、10代でも発症することがあるというから油断ならない。
腫瘍が10cmともなると、手術は開腹手術が一般的。
「体力や仕事への復帰を考えて、腹腔鏡手術でしてもらうことにしました。ドクターからの“まだ水着、着るでしょう?”の言葉も大きかったですね(笑)」
しかし、嚢腫があまりにも大きすぎて右の卵巣にあるのか左なのかもわからない状態だったという。
「開腹してみなければわかりませんと言われてしまって。“腹腔鏡でやってみますが、状況によっては開腹もありえます”とも言われました」
手術時間はおよそ2時間。全身麻酔で行われ、メスとカメラを入れる穴をつくるため、下腹部に2つとおへその中に各1cmぐらいの穴をあけた。発症した卵巣は、幸いにも温存することができた。
「ドクターから事前に“卵巣を取るかもしれない”と言われました。でも戸惑いはなかったですね。卵巣は2つありますし、とにかく悪いものは取ってもらわないと、という思いのほうが強かったです」
ちなみに美奈代さんの嚢腫は皮様嚢腫。摘出した嚢腫は縮んで小さくなっていたものの、腫瘍の中に髪や歯などが入った、なかなかショッキングな状態であったという。