独立か残留か──激動のジャニーズ事務所、タレントたちのこれからが気になる。会社が解体され、新会社が生まれるなか、彼らが選ぶべき道は? 芸能ジャーナリストの佐々木博之氏が解説する。
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“指名NGリスト”の発覚で、物議を醸しているジャニーズの記者会見だが、今回の会見で明らかになったのは、指摘されていたように『ジャニーズ』という社名がなくなり、『SMILE UP,』と変更。そして同社は芸能事務所ではなく、被害者の補償に特化した会社になるということ。同社とは別に芸能事務所として新会社が設立され、社名はファンから公募して決める。この2点だ。
その新事務所だが、発表によれば、希望するタレントはエージェント契約を結ぶことが可能だという。かといって完全なエージェント会社ではなく、これまで通り専属契約(マネジメント契約)を結び事務所所属となることもできる。先日の元V6・岡田准一のように完全に独立するということでなければ、選択肢は2つ。
このエージェント契約なるもの、海外、特にハリウッドなどでは主流でほとんどの俳優がこの契約形態をとっているが、日本では例の『闇営業騒動』の後で吉本興業が導入したものの、数名のタレントと契約を結んだくらいで、まだまだ少ない。
海外はエージェント契約が主流だが日本は
日本の芸能事務所のほとんどが採用しているのがマネジメント契約だ。営業からクライアントとの契約、出演交渉やギャラ交渉、スケジュール管理、マスコミ・トラブル対応に至るまで、全てを事務所が行なってくれるシステムだ。
タレントは仕事に集中できるが、その分ギャランティーの取り分は少なくなる。新人の場合は育成費用も掛かるため事務所の取り分は多くなる。ベテランになるまでは仕事も自由に選べないことも多い。
一方、エージェント契約は仕事を取ってくる「営業」や「ギャラ交渉」は事務所が代行してくれるが、その他のマネジメント業務は全て自分で行なわなければならない。仕事先との契約はタレント個人がすることになる。
スケジュール管理も、現場への移動も、トラブル対応も、基本的に事務所はタッチしない。
完全な『個人事業主』となり、芸能事務所側からすると、タレントは顧客になるので力関係は対等になるが、仕事のオファーが多い人気タレントやベテランとなればタレントの方が上になる場合もある。またエージェント契約は1社だけとは限らない。複数のエージェント会社に契約している例は海外ではよくみられる。