「2006年の夏の終わりから秋口だったと思います。ジャニーさんから“ユー、僕の家に遊びにおいでよ”と言われて、5人のJr.と泊まりに行ったんです。マンションの部屋には、カラオケルームや当時の最新ゲーム機があり、友達の家に遊びに来たような感覚でした」
ジャニー氏は、喜んで遊ぶ少年たちを、愛おしそうに見つめていたという。
夜も更け、ジャニー氏の指示で少年たちは寝床に入るも、田中はなかなか寝付けずにいた。すると、寝室のドアが開き、ジャニー氏が入ってきた。
「ジャニーさんがベッドに座ったので、一緒に寝るのかなと思ったんです。すると“ユー、マッサージしてあげるよ”と言いながら足先から触られ、その手がだんだん上のほうに……」
ジャニー氏は、田中の性器を触り、口淫した。田中が射精をすると、ジャニー氏は温かいバスタオルで彼の身体を拭き、部屋を出ていったという。これが田中にとって初めての性体験だった。
行為の見返りは3万円と「スターへの道」
「ジャニーさんの行為をどう受け止めればいいかわからず、戸惑いました。社長だから拒絶できなかったのもありますが、イヤだって気持ちは正直あまりなかったんです。友達みたいに接してくれるので好きだったし、行為のあった翌日は3万円ほどのお金をもらえましたから。でも、いま思えばそれこそが“支配”だったとも感じます。親にも恥ずかしくて言えませんでした」
田中は大人に助けを求めることができないまま、頻繁にジャニー氏の自宅に呼ばれ、繰り返し性的に搾取されていく。その行為は30回以上にわたったという。これに伴い、ある変化が起こった。
「あるとき、ジャニーさんに呼ばれて、ほかのJr.と3人で並ばせられたんです。“ユーたち同じぐらいの身長だね”と言われ、そこから雑誌とかの取材を3人で受けるようになりました。出演していたNHKの『ザ少年倶楽部』ではマイクを持たせてもらえて、歌えるようになった。そのときは、純粋にうれしかった」
スターへの道を歩み始めた田中は、ジャニー氏から自宅のカギを渡されるまでになる。
「ジャニーさんから“あの子を連れて遊びに来なよ”と指示を受け、僕がそのJr.を連れて行くような立場になっていました。それがジャニーさんに“加担する行為”だと気がついたのは、だいぶ後になってから。思い返せば、連れて行った子たちは何人もジャニーズを辞めていきました」
ジャニー氏は、性について知識がなく、抵抗もしない田中たちを利用したのだ。
「自分の行動が性加害を助長していたと思うと、罪悪感から消えてしまいたくなるんです……。苦しいですね」