イオンやイトーヨーカドーなどに入っているフードコートを構成するのは、たこやき、クレープ、うどん、そば、ハンバーガーといった軽食を提供する店がほとんどで、この中でリンガーハットは高価格帯に位置している。そのうえ、最近の原材料高から何回か値上げを実施したリンガーハットは、生活密着型のフードコートにおいては、敬遠されてしまう価格帯になってしまったようだ。
フードコート立地は、コロナ禍でも商業施設の営業時間短縮の影響を受け大幅減収となる要因となっていた。リンガーハットは近年フードコートへの出店を強化していたが、その戦略が結果的に裏目に出てしまった。
値上げした後、消費者はどう動いたのか
原材料、エネルギー、人件費の高騰というインフレ環境に放り込まれた外食業界は、価格転嫁には苦慮しているようだ。
一般的にはある程度の価格改定を実施するチェーンが多いが、中にはサイゼリヤのように価格据置を続けている企業もあれば、消費者に値下げメニューでアピールしようという、なか卯のような企業もある。おおむね、おそるおそる段階的に値上げしていくというところが多い。実際には価格の変動は消費者の選択にどのくらい影響するものなのだろうか。
上場している主要な外食企業の2023年1月~8月の月次既存店売上増減率(対前年比)を適宜抽出して、その客単価と客数の平均値を出して散布グラフとしてプロットしてみたのが次の図である。
これを見ると、やはり値上げ幅が大きいほうが客数を抑制するという傾向は、若干あるものの、思ったほどではなく、値上げをしても客数を伸ばしている企業もある。