目次
Page 1
ー 原作・朝井リョウの同名小説、稲垣吾郎主演で映画化
Page 2
ー スマスマ以来となった新垣結衣
Page 3
ー どんなこともひと通り経験して、見ておきたい

 

「僕は小説や漫画を“もし映画になったらどうなるかな”と想像する読み方を結構します。海外の映画も“日本でリメイクしたらどうなるかな”と考えながら見たり。そして“そのとき、自分に出番はあるかな”とか。

 そんな“ごっこ”が楽しかったりするんですが、『正欲』については映像化は難しいと思ったので、そんなふうに考えずに原作を読んだ記憶があります。この作品を映画化するというチャレンジは、引き受ける以外には何も考えがなかった。衝動的にやりたいという思いが強かったです」

原作・朝井リョウの同名小説、稲垣吾郎主演で映画化

 原作は、46万部超の朝井リョウの同名小説。主演の稲垣吾郎は、検事・寺井啓喜を演じている。抱えているものや生活環境、性的指向などが異なる5人が少しずつ、少しずつ交差し、その先にあるものは。

「この作品を語るにおいて難しいんですけど、啓喜はマジョリティー側の人間で。今まで自分は少数派やちょっと癖のある役のほうが多かったので、“こっち側の人間”を演じるというのは意外だったし、俳優としての挑戦だなとも思いました」

 不登校の息子が、小学生ユーチューバーとして生きがいを見いだすも、まったく理解ができない啓喜。その杓子定規な思考は家族だけでなく、検事として対面する“生きづらさ”を抱える人たちの尊厳をも無意識に傷つける。

「最初は自分が正しいって思っていたのがいつしか揺れ動いて、グラついて。心が不安定になっていく感じは、演じていていちばん大切にしていたポイントかもしれないですね。

 決めつけてはいけないんですが、大半の人がまず最初に僕の目線でこの物語を見るんじゃないかと思っていて。人間って二面性どころじゃなく、いろんな面があって当然だし。人に言えないことがあって当然だし。何が正しくて、何が普通で、何が普通じゃないのか。受け取った観客の方々がそんな気持ちになってくれれば正解だったのかなと思います