なお、かける用のビールはすべて常温だ。このことについては1998年に横浜ベイスターズ(現・横浜DeNAベイスターズ)がリーグ優勝を果たした際のエピソードを、当時のピッチャー・佐々木主浩がラジオ番組で明かしている。

「優勝に慣れてないからビールがキンキンに冷えていて、寒すぎて風邪ひきました」

 その後、発熱しながらも日本シリーズ第1戦に登板、38年ぶりの優勝に貢献した佐々木。まさに“大魔神”級の働きがすごい!

僕は酒が一滴も飲めませんから

 ただし常温のビール、飲んだらぬるくて、さぞやまずかろう。実際に1973年の南海ホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)、リーグ優勝時のビールかけに参加したエモやんこと江本孟紀さんに当時の思い出を聞いた。

「ぬるいビールがうまいかまずいか以前に、僕は酒が一滴も飲めませんから(笑)。むしろ酒のニオイがきつくて参りました! でもビールかけは昔からある伝統的なイベントで、選手なら誰だってあれをやりたいもの。ほかの球団は苦々しい気持ちで見ているでしょうけどね(笑)。

 僕のころよりずっと派手なお祭り騒ぎになっていますが、今回の日本一は岡田監督には久しぶりのこと。さぞやうれしかったでしょうね!」

 ビールかけは優勝チームだけの特別なイベント。批判など無粋なことはせず、このときばかりは選手を勝利の美酒で酔わせてあげたいものだ。