ドラマの主人公に魅了されリアル店舗をオープン

「ビストロ・ヴィノシティ・グループ」のオーナーソムリエである藤森真さんは、ドラマがきっかけで、今の仕事を目指すようになった。稲垣吾郎が天才ソムリエを演じた『ソムリエ』(1998年・フジテレビ系)だ。

「私がワインに興味を持つきっかけ、そしてソムリエという職業を知り目指すきっかけを作ってくれたドラマです。私と同世代のソムリエに、このドラマの影響を受けた人は多いと思います。

 '90年代のワインブームを牽引したのは間違いなくこのドラマでしょう。主演の稲垣さん自身、ワインに精通していることで知られていますが、今思い返してみても稲垣さんがドラマの中で行うソムリエの所作やワインの扱い方など、かなり完成度が高かったように思います」(藤森さん)

「ショートケーキカンパニー」のシェフパティシエであるイチカワミズホさんも、高校生のときに見た『アンティーク 〜西洋骨董洋菓子店〜』(2001年・フジテレビ系)が自身のキャリアの原点にあるという。

「高校に入るころにはすでにパティシエになると決めていたのですが、当時はSNSはおろか、携帯の写真機能も普及していませんでした。そんなときに見たのが『アンティーク』です。

 まだ珍しかった平置きショーケースや、宝石のようにキラキラしたケーキ、レトロクラシックでおしゃれな内装など本当に素敵で忘れられません。今見ても感動すると思います」

 ストレートに食をテーマにしたドラマだけでなく、最近はやや奇をてらったグルメドラマも多い。

 「こども食堂サザンクロス」を運営する「NPO法人いきば」代表・南谷素子さんがハマったのは、『極道めし』(2018年・BSジャパン)。

 刑務所の受刑者たちがその日のおかずを賭けて、“これまで食べた中でもっともおいしかった食べ物の話”を繰り広げる。

「登場するのは冷やし中華やカレーなど、ごく普通の料理ばかり。でもなぜか魅力的に見えるんです。また、個性豊かな受刑者たちがごはんを通じて人間関係をつくっていく過程を見て、“めしの魅力”を改めて感じました」