やはり高田センセーは3人いる!?
センセーに気に入られること、気にされることは、芸人にとって大きな励みになる。
毎週金曜日、『ラジオビバリー昼ズ』の前番組『春風亭一之輔 あなたとハッピー!』を担当している落語家の春風亭一之輔(45)は、オンエアの合間に「憧れの人ですよね」というセンセーに会いに行くことを習慣にしている。
「どうだ最近、何かあったか、という話をしますが、手ぶらでは行けない。最近見た映画や読んだ本など、何かしら持って行くようにしています。感想を後で言ってくれたりするんで」と喜ぶが「楽しみだけどちょっと緊張しますね」と本音もチラリ。
「結構、私の番組を聴いてくれたりしているんです。『聴いてるぞ』ということは言わないんですけど、『あのネタはいいよな』とにおわせてくれる。ドキッとしますね。トークのスピードと語彙力も75歳とは思えない。芸人が横並びでいると、誰をどうツッコんで生かすのか、本当に適切にツッコんでくれる」
つい先日、漫才師ロケット団の三浦昌朗(49)と一緒に一之輔は、センセーにごちそうになったという。
「芸人は売れなきゃダメだって。売れないヤツのそばにいくと貧乏がうつる。売れてくれると俺はうれしい、可愛がっている芸人が有名になるのはうれしい、と言っていましたね」
前出・山口ディレクターも「センセーは必ず、活躍する若い人を認める」と証言するように、若い才能をきちんと育て上げる。春風亭昇太(63)や松本明子(57)、松村邦洋(56)、磯山さやか(40)ら多くの逸材が『ラジオビバリー昼ズ』でトークの才を開花させた。そして誰もが「人気とは高さではなく長さ」というセンセーの了見を体現している。
有名な人だから付き合う、得するから付き合う、ということをセンセーは一切しない。
「ただのファンでした」というところから、現在ではセンセーと2人で映画を見に行ったりする間柄になったテレビマンユニオンの渡辺誠さん(47)は「生」を重視する姿勢、人と会わなきゃいけないというセンセーの姿勢に影響を受けたという。
今年公開された、俳優の筒井真理子主演映画『波紋』(荻上直子監督)のプロデューサーを務めた渡辺さんは、いわゆる業界人として情報に接しているが、「センセーのアンテナにはかなわない」と脱帽する。「人にも会う、落語会にも行く、頻繁に本屋に行っては面白そうな本を買い求め、新刊見本にも目を通して、映画もメジャー作だけでなく、『福田村事件』や『DAIJOBU』なんかも押さえている。どうしたらあんなふうになれるのか……」
こうなると『ラジオビバリー昼ズ』の山口ディレクターが提唱した『高田センセー3人説』ががぜん真実味を帯びてくる。
ちなみに渡辺さんは、高田センセーに直談判し、子どもにセンセーの一文字を頂戴し「文」と命名。現在、小学4年、10歳になったという。