この状況を見て、コラムニストの吉田潮さんは「これまでがおかしかったんですよ」と、こう続ける。

今回、1組も選ばなかったNHKにはよくやった、と言いたいですね。20組くらい出場するうちの6組が同じ事務所からって、おかしいじゃないですか。事務所に対してどんな忖度があるのかは知りませんが、受信料を徴収している“みなさまのNHK”でお金と時間があるなら、それこそみんなが興味があるであろう、中森明菜さんとかを連れてくるのがスジじゃないですかね(笑)

視聴率への影響

 また、『紅白』の選考基準のひとつ「世論の支持」について、

「世論といっても、ファンが多くて、その声が大きい旧ジャニーズのタレントが選ばれるのは、ある意味“数の暴力”だと思うんです。『紅白』は歌合戦ですよね? ならばダンスとかパフォーマンスだけではなく、歌をちゃんと聴きたいと私は思います。『紅白』にはいろいろツッコみたいところがあるけど、今年の音楽シーンがどういったものだったかを振り返るのなら、民放でやっている音楽祭とかのほうがよくないですか? J-POP、アニメ、バンドなど、バラエティーに富んだ音楽が聴けますから」(吉田さん、以下同)

 そして一昨年、昨年に『紅白』に出場して話題になった藤井風を例に挙げる。

「出場発表されたとき、一般的にまだメジャーではなかった彼が“これ、誰?”と言われながらも、歌を披露したとたん、老若男女が“これはすごい!”と称賛したじゃないですか。“本物”が出てくると年齢関係なく、心をつかまれるということ。ただアーティストにとって、それが本望だと思うけど、『紅白』はフルコーラス歌えないし、好きなように歌えるかというとそこは微妙ですけどね。でも歌合戦と称するのなら、歌で心を動かせる番組にしてほしいですね

 また、視聴率がガタ落ちするのでは、という声について、

NHKは民放と違って、スポンサーは関係ないのだから、視聴率をそこまで気にする必要はないのでは? 気にするなら、受信料を払っている視聴者を気遣うべき。それに『紅白』は歌手の出る順番がわかるから、旧ジャニーズのタレントのときだけ見て、あとはチャンネルを変えてしまうファンもいるでしょう。だから、そこまで視聴率に貢献しているわけではないんじゃないのかな