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ー お金ではなく“自分がいいと思った作品に出る”

 

 12月12日、西村まさ彦が63歳の誕生日を迎えた。

「2015年に所属していた芸能プロダクションから独立し、2017年には活動30周年の節目を機に本名の“雅彦”から“まさ彦”に改名。地元・富山でワークショップや公演を開催するなど、最近は、若手育成と地方創生にも意欲を見せています。今年は7月クールのフジテレビ系ドラマ『この素晴らしき世界』に出演するなど“名バイプレーヤー”ぶりは健在です」(スポーツ紙記者)

 そんな西村だが、現在公開中の自主製作映画『[窓]MADO』で主演を務めている。

「実際に起こった『横浜・副流煙裁判』をもとにした、同じ集合住宅に住む2つの家庭を描いた社会派作品です。西村さんが演じるのは、娘が隣家からの受動喫煙に悩まされる家の父親。数少ない西村さんの主演作ということもあって、注目したい作品ですね」(映画誌ライター)

 監督は、『横浜・副流煙裁判』で自身の父が加害者として訴えられた麻王監督。放送中のCM『BOAT RACE シリーズ』などで映像ディレクターとしても活躍している。監督によると、西村は“男気”で主演オファーを快諾してくれたそう。

「西村さんが出演していた1999年公開の『黒い家』という映画を見ていて。西村さんほどの名のある俳優が自主製作映画に出演するのはまれですが、父親役にハマるのではないかと思ってダメ元でオファーしたんです。それまで西村さんと接点はありませんでしたが、二つ返事で受けてくれました。後々ご本人に聞いたところでは、オファーの際、台本はいっさい読まず、製作の経緯や意図を記した文章だけ読んで出演を決めてくれたそうです。“言葉は人を動かします”とも言っていました」(麻王監督、以下同)

お金ではなく“自分がいいと思った作品に出る”

映画は、どこにでもいる平凡な一家が受動喫煙によって苦しめられていく様子を描く(『[窓]MADO』より)
映画は、どこにでもいる平凡な一家が受動喫煙によって苦しめられていく様子を描く(『[窓]MADO』より)

 監督初の長編作品、そして自主製作ということもあり、撮影は限られた条件下で行われた。

「文化庁の助成金を受けるために、製作スケジュールはかなりタイトでした。そのため、西村さんには細かい配慮が行き届かないこともありましたが、スタッフの熱量や勢いを買ってくれて。みんなで何かを作り上げるのが好きな方なんだと思いましたね」

 西村は、利益最優先ではなかった点にも価値を感じていたよう。

「西村さんは個人事務所で活動されていることもあって、お金ではなく“自分がいいと思った作品に出る”というポリシーも感じましたね。宣伝や興行も私たちでやらなくてはならないのですが、西村さんが劇場にアポを取ってくれたり、上映に際しての企画を提案してくれたり。ビジネスマンとしても有能な方なんだなと、新たな一面を垣間見ることができました」

 映画は現在、横浜のミニシアター『シネマ・ジャック&ベティ』にて12月22日まで公開中。今後、全国各地での上映も予定しているそうだ。

 西村の熱意も観客たちの心を動かすはず!