今年2月、ちょっとした騒動が起こる。宮容疑者の知人か親族筋から“ずっと連絡がとれないので部屋を見てほしい”と相談があり、アパート関係者と警察で部屋に立ち入ったという。

「なんのことはない。部屋の中でゴミに埋もれ寝ていたんだって」(前出・男性住人)

 供述が事実ならば、すでに収入がなくなり貯金を切り崩していた時期だ。室内は荒れてゴミ部屋のようになっていた。

 近所付き合いを避け、騒音やゴミ出しマナーなどのご近所トラブルも起こさず、目立たない生活を送りながら唯一、我を出した場所が地元の銭湯だった。アパート関係者によると、宮容疑者の部屋には風呂がない。スウェット上下で洗面器やタオルを手にサンダル履きで毎日のように通い、いつもこざっぱりとしていた。

うめるな。オレは熱いのが好きなんだ

 ふだんは無口なのに銭湯では違った。

「湯船のお湯が熱くて水で薄めようとする客がいたとき、“うめるな。オレは熱いのが好きなんだ”と叱っていました。あるいは脱衣場で扇風機が回っているとき、中高生ぐらいの男の子が“寒いので止めていいですか”と尋ねると、“ダメだ。オレは暑いんだ”と突っぱねた。頑固というか、変わっているという印象を受けました」(銭湯の常連客)

 その銭湯は昨年閉業したため、また別の銭湯で見かけるようになったという。

 やがて貯蓄は底をつき、銭湯通いどころではなくなったのだろう。毎年、冬季直前になると、ストーブ用の灯油購入代金を封筒に入れて玄関にぶら下げていたというが、今年はその封筒が出なかった。

 アパート周辺が騒然としたのは逮捕前日のこと。十数人の私服刑事らが容疑者の部屋を取り囲み、「開けろー!」とドンドン玄関の扉を叩いた。やがてひとりの刑事が「なにしてんだー!」と怒鳴ったという。

「宮容疑者が座布団にオイルライターで火をつけたらしい。すぐに警察官が座布団を外に出し消火したため、延焼は免れたが、下手をしたらこっちまで焼け死ぬところだった」(前出・男性住人)

逮捕前、座布団に火をつけるなどしてケガをし、ストレッチャーで運ばれる宮哲夫容疑者(写真左側の白いフードをかぶった人物=目撃者提供)
逮捕前、座布団に火をつけるなどしてケガをし、ストレッチャーで運ばれる宮哲夫容疑者(写真左側の白いフードをかぶった人物=目撃者提供)
【写真】実況見分をする容疑者、逮捕前にもボヤ騒ぎを起こしてストレッチャーで運ばれて…

 目撃者らによると、宮容疑者は首から血を流し、手にもケガを負っていた。捜査の手がおよんだことを察知し、また自暴自棄になったのか。身柄を確保されると白いパーカーを頭からすっぽりとかぶり、ストレッチャーに乗せられ救急車で運ばれていったという。