藤原道長の認識を改めたい
前作『どうする家康』なら関ヶ原の戦いなど、史実から物語の山場が予想できたが、本作はイメージしにくい部分も。
「“本能寺で織田信長が死ぬ”とわかっている話より面白いかもしれないじゃないですか?
史実の詳細は平安オタクの人しか知らないと思うので、先がわからないという面白さ。そこを逆手に取らないと、勝負はかけられませんから。
宮廷の中は、会社みたいなもの。偉くなりたい人はいるし、誰かを陥れたり、失脚させたりということは同じようにあるんですよね。そんな平安の権力闘争、葛藤、足の引っ張り合いは、戦乱の世と同じぐらいスリリングだと思いますよ」
その中心には、藤原道長。“この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば”の歌が有名だが、
「藤原家が横暴な政治をしたわけじゃない。時代考証の先生もレベルの高い政治をしていたとおっしゃっています。特に、道長は長い歴史の中でも優秀な政治家のひとり。みんなの気持ちをまとめる能力に優れた人として描き、道長の認識を改めたいと思います」
1年後、平安時代のイメージは激変しているかもしれない。
吉高由里子の持ち味
「吉高さんは、もう何本もやっている仕事仲間。“こう演じてほしい”と私から言うことはありません。彼女の持ち味は、普段はすごく明るいけど、ふとした瞬間に陰を見せることもあり、陽と陰が同居している役者だと思います。はじけた感じと、悲しさ・寂しさみたいなもの。紫式部のちょっと気難しい感じには合ってるなと思って。そこはのびのび演じてくれれば、出ると思います」
柄本佑の持ち味
「柄本さんはいわゆる二の線に分類される人じゃない(笑)。でも、ドラマ『知らなくていいコト』('20年)ではすれ違うだけで“うっ”となるくらいセクシーで素敵でした。本当に、イイ男をさりげなくやる。それで今回、道長をやってほしいなと思いました。ニ枚目、とぼけた感じ……自分の見せ方をすごく計算している人だと思います。台本もそれを表現しているけど、柄本さんはそれ以上に考えて見せてくれる。すごい役者です」
※初回15分拡大