「YouTubeをやりなさい」のお告げが!?
2020年4月、YouTube『廣川家』がスタートした。撮影と編集はスーさん。きっかけは「夢のお告げ」。
「夜中に眠れなくなって、急にYouTubeをやりなさいって聞こえた。そこからYouTubeを始めるぞ、YouTubeを始めるにはどうしたらいい?と思考がどんどん進んで。朝になっても頭を離れなかった。1週間くらい悩んで、やったほうがいいと思ったんよ」
同時に考えた。誰が編集する?誰が撮影する?逡巡した結果、スーさんは自分がやると腹をくくる。
目標は収益化。軌道に乗せるため、まずは50本の動画を公開することにした。毎日深夜2時に寝て早朝4時に起きる、そんな生活を4か月続けた。
努力のかいあって、YouTubeの収益化が実現。スーさんの目標額には届かなかったけれど、廣川家初めての現金の定期収入。
「めっちゃ大変やった。もう思い出したくもないわ。視聴数は思うように伸びんかったし。ハイエース(車)も買えんかった。甘かったよね」
とスーさん。あゆみんは、
「私は十分だと思ってるよ。かまどさんも新品を買えたし、リフォームもプロに頼めた。すっごい贅沢。夢のようだよ」
YouTubeの収益で台所を改築してかまどを設置できた。それまで台所に加熱調理器はなく、屋外の薪ストーブで煮炊きをしていた。調理器具であるかまどの火力は強くて安定しており、料理がはかどるようになった。YouTubeをしていなかったら台所の改築はこれまでどおりのセルフビルドだったのだ。
「今回は必要なところを大工さんや左官屋さんに依頼でき、現金で支払えた」
と、スーさん。かまどや煙突などの資材も、これまではいい中古や廃品が出てくるのを根気強く待ち、足りない部品があればスーさんが自作。けれど今回は新品を購入できた。
現金を得たとはいえ、何でも買っているわけではない。お金を使うのは未来への投資につながるものに限っている。
あえて経済活動から離れ、不便な生活を選んだスーさんとあゆみん。だから、待つことや、ゼロから自分で作り出すことで得られる情緒を知っている。買うことでその情緒を感じにくくなったのもわかっているのだ。
「便利なものには、副作用があるから気をつけないとね。でも、それ以上に、選択肢と時間軸が増えたのはよかったと思ってるよ」
というのは、人に委ねてもいいな、職人さんに投資してもいいなと思えるようになったから。買うことで得られた時間軸を子どもとの時間や社会奉仕に使えるようになったから。