ネクラでネガティブな一面も

 まさに人たらしの吉高だが、こうした“気遣い”ができるのは、意外な性格が影響しているとの話も。

「大のお酒好きで、映画の製作発表の会見では“クズでーす”なんて衝撃発言をする奔放なイメージですが、実は結構ネクラというか、ネガティブ思考の持ち主と聞いています。“うまく演じられないんじゃないか……”と思って、撮影中に泣いたり、逃げ出したりすることもあったそう。けれど、さまざまな思いを巡らせるからこそ、周囲をよく見て、どう立ち振る舞えばいいか判断できるのだと思いますよ」(前出・映画ライター、以下同)

 意識改革の影響からか、国民的女優への道も開けた。

「'13年公開の映画『横道世之介』の演技が評価されて、'14年に放送された連続テレビ小説『花子とアン』の主演を務めることになるのです。しかし、この朝ドラ後、吉高さんは長期間の休養に入ることに。心身のバランスを崩したのか、画面に映る自分の姿を気持ち悪く感じるようになってしまったそう。事務所には“もう引退する”とまで話したそうですよ

大河の放送は1年間にわたるため台本の数も膨大に(吉高由里子のXより)
大河の放送は1年間にわたるため台本の数も膨大に(吉高由里子のXより)
【写真】ハイボール飲んだ!? ドラマ打ち上げで笑顔はじける吉高由里子が眩しすぎる

 心身への負担も大きい長期間にわたる国民的ドラマの撮影が、心を蝕んでいったのかもしれない。しかし、海外旅行などで羽を伸ばし、約2年間の休養を経て復帰を果たす。

「今は仕事の量を無理のないように調整しているようです。しかし、大河の撮影は朝ドラ以上の長丁場。注目度も高いだけあり、プレッシャーは半端ないはず。吉高さんも気合が入っているようで、撮影中は休日以外飲まない“禁酒宣言”をしているそうです。自分を追い込みすぎず、頑張ってもらいたいですね

 過去の雑誌インタビューで、女優を続ける理由を問われ、

《来世で、自分が出てるDVDとかを観たいから》

 と回答していた吉高。

 紫式部の記した長編小説『源氏物語』は、執筆から1000年という時を経た今も多くの人を魅了し続けている。吉高も今回の大河ドラマで、時の洗礼に耐えうる演技を見せられるか─。

木俣 冬 フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するインタビューやルポルタージュなどを執筆。著書に『みんなの朝ドラ』(講談社現代新書)など。大河ドラマ『どうする家康』(NHK出版)のノベライズ作品なども手がける