突き詰めただけ自分を理解できる
一筋縄では芝居をさせてくれない印象があると語る藤巻という役。病理医の設定も初めて経験すること。
「今回の作品で触れるまで病理医がどういうものかまったく想像ができなかったので、監修をしてくださる病理医の先生のところに行って説明を受けたり、いただいた本を読んだりしました。
病理医は(亡くなられた患者さんの死因などを検証するため)死が身近にあり、隣り合わせにある職業。僕が先生に勝手に感じたのは、おそらく本当にこの仕事が好きでないとできないだろうということ。
藤巻は顕微鏡としか目を合わせず、臓器や(身体の)組織にしか興味がない一種のオタクであるけれど、病理医という職業に誇りを持っている。ドラマでは、そんな人間がある決断をしなくてはいけないという葛藤も描かれています」
同じ病理医からも「顕微鏡としか目を合わせないし、臓器と(身体の)組織にしか興味がない」と言われる藤巻。彼のように何か突き詰めていることがあるかを聞くと、
「藤巻が顕微鏡を見ることが好きというのは、人を救うことが好きということにつながると思うんです。僕自身も仕事のほかに、趣味でアウトドアやゴルフ、釣りが好きなのですが、突き詰めたなりの考えやこだわりが、自分の仕事へのモチベーションにもつながっていくと思っています。
好きであれば、もっと知りたい、勉強したいという欲が湧いてくる。突き詰めただけの知識や経験を蓄えることができる。
そうすると、より自分の欠点なんかにも気づくことができる。自分というものをもっと理解できるようになるというのはあると思いますね」
今年7月には俳優デビュー30周年を迎える。
「なんでしょうね。ある意味、ラッキーだったのかなと思います。インターネットが発達した今とは比べようがないかもしれませんが、僕がデビューした当時はテレビドラマの黄金期でした。
今は、なかなかテレビでドラマを見るということを若い世代のみなさんはしないのかもしれませんが、やっぱりいい作品は残っていくと思うんです。だから、見てくださる方にしっかり伝わるものを作るということを肝に銘じたいと思います。
今回の藤巻のように、演じたことのないキャラクターや作品に今後も挑戦していきたいですね」
スタイリスト/二村 毅(hannah) ヘアメイク/池上 豪 NICOLASHKA