「殺すぞ」「表に出ろ」

 西元さんをめぐっては、他人の首に刃物を突きつけたり暴力を振るう場面を目撃した人物がいるほか、“元組長”と呼ぶ人もいるそう。Aさんと連れ立って早朝に別の知人宅に押しかけ、室内に乗り込んで「ビール買ってこい」とその知人をパシリのように使うこともあったという。

事件のあった前橋市内のマンション。救急搬送後のエレベーターには血痕が点々と残っていたという
事件のあった前橋市内のマンション。救急搬送後のエレベーターには血痕が点々と残っていたという
【写真】自称“暴力団”の被害者、「借金踏み倒し屋をしていた」証拠写真

 そして刺殺事件当日の朝。西元さんはまたもAさんと連れ立って現場マンションを訪ねた。オートロック式のエントランスのドアを開けさせるためインターホンを押した部屋番号は、野本容疑者とは別の知人関係にある住人だった。

「午前4〜5時ごろだったと思います。こんな非常識な時間に……と思いましたが、怖くて無視もできないので開けました。ところが、いくら待っても私の部屋には来ないんです。事件があったのはそのあとのことです」(同住人)

 地元関係者によると、野本容疑者と西元さんは同じ社会福祉法人から支援を受けていたことがあり、ささいなことで西元さんが「殺すぞ」と迫り、野本容疑者が「表に出ろ」と返す口論があった。結局、西元さんは表には出なかったというが、ケンカの原因はわからないという。

 前出・元社長は付け加える。

「死者に鞭打つようで気がひけますが、西元さんの早朝ピンポンに恐怖感を抱いた地元住民は少なくありません。いつかこんなことになるんじゃないかと危惧していました。一部報道で西元さんについて“やさしい人”と証言した人がいたため、いい人だったというイメージを持つ人がいるようですが、とんでもない話です。

 生活保護受給者らの金銭トラブルに介入する“借金踏み倒し屋”をしていたといえるでしょう。私は野本容疑者と面識はありませんし、かばうつもりはありません。いかなる理由があったにせよ犯罪行為が認められないのは重々承知していますが、真実を知ってもらいたいと思っています」(元社長)

 早朝ピンポンのあと、何が起こったのか。住人によると、犯行のあった時間帯、容疑者の部屋からドタバタと大きな音が聞こえてきたという。