倒れた南部さんを最初に発見したのは、外出から帰宅した妻の由紀さんだった。

死んでいるはずなのに“既読”がつく

ダンナ「南部ちゃんが奥さんに腎臓を提供されたことも話題になりましたよね。それ以降、体調はかなりよくなったんですが、毎日血圧を測ったりと、奥さんはこれまで以上に南部ちゃんの体調管理に気をつけていたんですよ。だから倒れた南部ちゃんを見つけたときは相当ショックだったでしょうね。でも最期を看取ってからは、非常に落ち着いていた。どこか心得たところもあったんだと思います

 南部さんが亡くなったことが報道されると、交友範囲がとてつもなく広かった南部さんのLINEには、たくさんの人からメッセージが届いた。もう読んでもらえないことはわかっているけれども、最後に感謝の思いを残したい――。そんな思いからメッセージを送った人たちはその直後、ギョッとすることになる。

今日南部さん、死んでいるはずなのに“既読”がつくんですよ。で、“ありがとうございました”って。電話をかけた人には『はい、南部です』って。奥さんがね、いちいち返信していたんです。奥さんとしてみたらおそらく相手が誰かなんかわかっていないんだと思うんですけど、反射的にやっていました。みんなびっくりしていましたね」

ダンナ告別式の前日も、電撃メンバーのグループLINEに、南部ちゃんのLINEから『明日は朝早いですがよろしくお願いします』って来て。(送っているのは)奥さんなんですけど。『うわっ』って、あれは本当ビビりましたね(笑)

 迎えた告別式。「参加者は喪服禁止」と通達された当日、誰よりも派手だったのは、由紀さんだった。

今日イベントで使っていた7色のアフロに、南部さんのド派手な私服を着ていました。『元気!一緒に写真撮ろうよ』なんて声をかけてくれて、なんだか南部さんに声をかけられたみたいでした

ダンナ奥さんがね、喪主だから最初にお焼香をしたんですけど、頭を下げるたびにアフロがひょこひょこ動くんですよ。悲しいはずなんだけど、おかしくてね……

 悲しいけど、おかしい。

《人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇である》(チャップリン)

 最後まで現役芸人だった南部さんの思いは、奥さんが立派に形として残してくれた。とはいえ、「電撃ネットワークはなくならない。南部さんが作った電撃をなくしたら、それこそ南部さんに怒られる」と、メンバー2人が口をそろえる。

ダンナ「告別式のために、俺も南部ちゃんと同じ頭にしてみたんですが、結構好評で。式が終わったら丸刈りにしようかと思っていたんですけど、もう少し、このままにしておこうと思います。この髪形と同じように、南部ちゃんには、『南部ちゃんの作った電撃ネットワークがもっと世間に爪痕を残すために、俺ももう少しこの世であがきますから見ていてね。よろしくね』と伝えたいですね

取材・文/木原みぎわ

ダンナ小柳 1968年生まれ、新潟県出身。電撃ネットワークでの持ちネタは「目から牛乳を出す」「ドライアイスを食べる」など。芸名の由来は、デビュー当時、小柳ルミ子さんの元夫に似ていたところから南部さんが命名。

今日元気 1988年生まれ、山口県出身。元海上自衛隊員。2016年に加入した電撃ネットワークの「若手班」のひとり。持ちネタは「鼻爆竹」「鼻うどん」など。風貌が若いころの南部さんに似ていることでも話題に。