皇族としてのご自覚
'99年春、4歳となった佳子さまは東京都豊島区目白にある学習院幼稚園に入園した。4月11日、あいにくの雨の中で入園式が行われ、佳子さまはご両親と一緒に傘をさして出席した。佳子さまは紺色の上着、スカート、それに同じく紺の帽子という幼稚園の制服姿。
茶色のスーツの秋篠宮さまとオフホワイトのスーツを着た紀子さまが娘を気遣う。佳子さまは少し恥ずかしそうな様子だった。式が終わって雨もあがり佳子さまは、両親と手をつないで歩いた。記者たちから「おめでとうございます」「入園式はいかがでしたか」と、声をかけられた秋篠宮さまたちは、報道陣に会釈をして幼稚園を後にした。
この年の11月末、34歳になる直前に行われた誕生日会見で記者たちから「(子どもたちに)皇族としてのご自覚を持っていただくために心がけていらっしゃることはございますでしょうか」と、尋ねられた秋篠宮さまは次のように答えている。
「私の子どもたちが遊びでもいいですし(略)出かけたり、何かしようとするときに、やはり私たち親だけでなく幾人かの人が動いたり、そのために何かしてくれるということがあるわけですね(略)。動いてくれたり、何かしてくれたりする人に、できるだけ迷惑がかからないようにするということは、私はいつも両親から言われていましたし、私もそういうようなことは、子どもたちにはわりと頻繁に言うことがあります(略)。例えば、約束した時間を守るとかですね」
秋篠宮さまが佳子さまたちに「約束した時間はきちんと守るように」と、教えているが、こうしたしつけは秋篠宮さまが小さいころから、ご両親である上皇ご夫妻から常に言われ続けてきた、というところがとても興味深い。'98年秋の記者会見で、秋篠宮さまはこのような発言をしている。
「皇室というものが日本に存在しているということは、やはり、日本国民が、皇室というものがあってよかったと思ってくださる人が、国民の支持があるからこそ存在しているのではないかと、私は思っております(略)。国民がですね、皇室にどういうことを期待しているか(略)、そういうことをですね、やはり、常に頭の中、念頭に置きながら、私たちがですね、するべき仕事、務めを果たしていく必要があるのではないかと思います」
秋篠宮さまのこの言葉を踏まえると、今年の佳子さまは、多くの国民が佳子さまに何を期待しているのか、そのことを常に考えながら20代最後の日々の務めを、しっかりと果たしていく。そういうことになろうか。
<文/江森敬治>