ビジュアルに隠された俳優としての「熱」

 原点とは何か? 宝泉氏はこう続ける。

「僕が山崎さんを初めて見たのは、映画初出演で主演を務めた、'11年公開の『管制塔』。若い少年少女が自分探しをしていくといった物語なのですが、全体的に落ち着いたトーンの作品でした。そうした役を演じるイメージがあったので“実写化俳優”と呼ばれ、キラキラしているほうが意外だったんです」(宝泉氏、以下同)

書店には山崎賢人が主演する話題作のノベライズ本が並ぶ
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 山崎が売れ出したころから、彼のビジュアルに引っ張られて役がついてきた感がある、と宝泉氏は分析する。そして、ここ何年かの彼の変化について、

「アイドル的なイメージで見られた彼がイメチェンするには、『キングダム』のような今までとはまったく違う役に自分を託すしかなかったのかなと。彼自身が殻を破ったというか、世間のイメージを打ち壊したのだと思います。

 もともとハリウッドを目指したい、ということを口にしていましたし、上昇志向のある人。彼のビジュアルにだまされて、心の内にある俳優という仕事に対する熱さに、周囲が気づけなかったのかなと思います」

 山崎の“素”の部分が前面に出てきた今、彼のこれからはどうなるのだろう?

「個人的には、ハリウッドでも渡辺謙さんのように“ヒーロー”を演じるのではなく、役所広司さんのように、どこにでもいる市井の人を、味わい深く演じる“いぶし銀”的な名優になってほしいな、と思います」

 4月には、若き日の安倍晴明を描いた、夢枕獏氏の小説が原作の映画『陰陽師0』で主演する山崎。これまでとはまた違う、新しい姿を見せてくれそうだ。