ドラえもんは、歌が下手だと言われてジャイアンをたこ殴りに?

 ジャイアンとしずかちゃんにスポットが当たりがちなものの、ほかの3人の活躍もなかなか興味深い。

 まずのび太は、ジャイアンより音痴な可能性が示唆されている。第13巻「ちく電スーツ」で歌声を披露するのび太に向かって、スネ夫は「ジャイアンよりひどいや」と評価。勉強、スポーツと何をやらせてもダメなのび太だが、歌の実力がジャイアン以下だなんて想像した人は少ないのではないか。

 次にスネ夫だが、実は歌が上手いことで知られている。「ドラえもんプラス」第1巻「おいかけテレビ」では、「ジャリッ子のどじまん」という番組に出演しており、水前寺清子の名曲「東京でだめなら」を歌唱。スネ夫は手先が器用で、絵画を嗜むシーンもあり、将来はデザイナー志望であることからも芸術センスの高さがうかがえる。

 最後にドラえもん。特に音痴という描写はないが、実は一度だけ壊滅的な歌声を披露したことがある。

 それが、ドラえもんプラス第7巻「ドラえもんの歌」という回。ちなみに同回はジャイアンのリサイタルが初めて開催された話でもある。

 ふとしたことがきっかけで故障してしまったドラえもん。「なんだか歌を歌いたくなった」と歌うも、これがあまりにも酷い出来映え。のび太いわく、「ひどい声だっ ジャイアンよりひどいぞ​」と酷評。

 ドラえもんの暴走はこれだけでは終わらず、「芸術のわからんやつは人間じゃないっ」と言い放ち、ジャイアンをボコボコにしたり、挙げ句の果てに夜中の空き地でリサイタルを決行したりとまさに傍若無人。この回に限り、ジャイアン以上の暴君っぷりを発揮したのだ。