中国や台湾では趣旨に違いも
当時、同店での主力商品は鶴乃子。これが売り上げの8割を占めていたのに対して、チョコマシュマロの売り上げはわずか2割程度だった。この売り上げを伸ばそうと悩んでいた社長が生み出した名案であった。
「初年度は百貨店の岩田屋(現在の岩田屋三越)で催事を行いました。初日の売り上げは8万円。“そこから市場ができてうれしかった”と前社長は話していました。7~8年後、百貨店側より“マシュマロだけでなく、もっと幅広くお返しの文化として展開できないか”と提案があり“マシュマロの白”を想起させる『ホワイトデー』へと名称を変え、定着していったのです」
このほかにも起源は諸説ある。
《1978年に全国飴菓子工業協同組合が“キャンディーを贈る日”としてホワイトデーを制定。2年の準備期間を経て、1980年に第1回ホワイトデーが開催されたのがその始まり》《大手製菓店『不二家』と『エイワ』が1973年、バレンタインの1か月後にチョコのお返しとしてキャンディーやマシュマロを贈ろうと開催した『メルシーバレンタイン』キャンペーンが起源》……これらがその主な説だが、おそらくどれもが正しく、日本の“ホワイトデー”は1970年代の各所で、さまざまな過程を経てつくられていったものなのだろう。
日本が発祥のホワイトデーはアジア圏にも広がりを見せており、中国や台湾では『白色情人節』(情人は恋人のこと)と呼ばれているが、イベント趣旨は少し変わって“男性から女性にプレゼントを贈る日”とされている。そもそも、バレンタインデーも西洋式に“男性から女性にプレゼントを贈る日”。7月7日の七夕にもやはり同じような習慣があるので、中国や台湾の男性は出費がかさみそうだ!
日本独自の“お返しの文化”ホワイトデー。男性も女性も楽しんで盛り上げたい。