天皇陛下の背中を見る悠仁さま

 今年2月21日、天皇誕生日を前にした記者会見で天皇陛下は、次のように甥である悠仁さまについて触れ、注目された。「皇位継承順位2位の悠仁さまの成長についてどのようにご覧になっていらっしゃいますか。今後期待されていることをお聞かせください」などと、記者たちから尋ねられた陛下はこのように発言した。

「悠仁親王は今年18歳となり、成年を迎えます。小さいときから甥として成長を見守ってまいりましたが、近頃は、地方や都内への訪問であったり、外国の方々との交流であったり、少しずつ、皇室の一員としての務めを果たしてくれていることを頼もしく思っています。

 会ったときなどには、トンボの話や野菜の栽培、また、クラブ活動として行っているバドミントンの話など、生き生きと話してくれますので、充実した日々を送っているのではないかと思います。これから、大学への進路についても考えを深めていくことになると思います。本人が関心を持ち、学びたいこと、やりたいこともあると思いますので、自身の将来をしっかりと見つめながら実り多い高校生活を送ってほしいと願っております」

 悠仁さまは伯父にあたる天皇陛下の背中を見て、触れ合うことで「天皇とは何か」をしっかりと学ぶ。父、秋篠宮さまのなさりようを見聞きしながら皇族としてのあり方を勉強する。生きた教材ともいうべき方たちが悠仁さまの身近に存在している。伯父や父親から直に学び、吸収することが何よりの「帝王教育」ではなかろうか。

 世間の一部はとかく、愛子さまと悠仁さま、天皇ご一家と秋篠宮ご一家を比較し、優劣をつけがちだが、はたしてそれでいいのだろうか? 

 皇室は、天皇陛下を頂点とし、一つにまとまっているからこそ価値がある。安定しているからこそ、国民は、自分たちの心の大きなよりどころとして、皇室を尊敬し信頼するのではないのか。幼少のころ、悠仁さまは虫を捕るためしばしば、御所を訪れ、天皇、皇后両陛下(現在の上皇ご夫妻)と交流した。これからは、忙しい勉強の合間を縫って、御所を訪れ、悠仁さまは両陛下と会う機会をより増やしてほしい。皇室がしっかりまとまっている印象を与えるのは、「令和皇室」にとってより望ましいことだと思う。

<文/江森敬治>

えもり・けいじ 1956年生まれ。1980年、毎日新聞社に入社。社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て退社後、現在はジャーナリスト。著書に『秋篠宮』(小学館)、『美智子さまの気品』(主婦と生活社)など