理想の男性像

5月25日、ギリシャ公式訪問のため、羽田空港から飛び立たれた佳子さま
5月25日、ギリシャ公式訪問のため、羽田空港から飛び立たれた佳子さま
【写真】学生時代の佳子さま、割れた腹筋が見える衣装でダンスを踊ることも

 さらに、「結婚の時期や、理想の男性像についてどのようにお考えでしょうか。お相手はいらっしゃいますか」などの質問に対して、佳子さまは次のように文書で答えている。

《結婚の時期については、遅過ぎずできれば良いと考えております。理想の男性像については、以前もお答えしていますが、一緒にいて落ち着ける方が良いと考えております。相手がいるかについてですが、このような事柄に関する質問は、今後も含めお答えするつもりはございません》

 愛子さまが三重県伊勢市の神宮を参拝したとのニュースに接し、ふと私は、31年前の1993年6月26日、結婚を報告するため天皇、皇后両陛下(当時は皇太子ご夫妻)が内宮、外宮を訪れた日のことを追憶していた。結婚当時の両陛下は、今以上に人気があり、国民から大いに期待されていた。宮内記者として、結婚の儀などや伊勢市、奈良県橿原市の神武天皇陵訪問を同行取材していた私は、行く先々で2人を熱狂的に出迎える大勢の国民を目にした。皇室の慶事は自分たちの喜びでもあり、一緒になって、心の底から祝おうとする人々の姿だった。

「皇室は、国民の幸福を常に願い、国民と苦楽を共にしながら務めを果たす、ということが基本であり、最も大切にすべき精神である」

 と、成年を迎えた際の記者会見('22年3月)で述べた愛子さまの言葉どおり、「国民たちと楽しみを共にする」光景が、私の眼前に途切れることなく広がっていた。

 しかし、2人に愛子さまが生まれたのは結婚して8年後の'01年12月1日のことだった。'03年12月、雅子さまは帯状疱疹と診断され、長期療養に入った。'04年7月、宮内庁は、病状を適応障害と発表したが、《ご快復の途上にあり、依然としてご体調には波がおありです。(略)大きい行事の後や行事が続かれた場合には、お疲れがしばらく残られる》('23年12月、医師団見解)という不安定な状態が、現在も続いている。

 特に皇室については、目先のことに一喜一憂することなく、20年、30年という長期的な視点に立って考えないといけないと教えられる。この先、いつまでも多くの国民から愛される佳子さまであってほしい。そう願わずにはいられない。

<文/江森敬治>

えもり・けいじ 1956年生まれ。1980年、毎日新聞社に入社。社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て退社後、現在はジャーナリスト。著書に『秋篠宮』(小学館)、『美智子さまの気品』(主婦と生活社)など