憧れを感じていた“自然”や“地方”

 兄・淳也を演じたのは、今作が映画初出演となった人気ロックバンドflumpoolのボーカルでもある山村隆太

「山村さんとは、初めましてでした。どこか陰のある淳也そのものの印象でした。少し距離のある兄弟役ということもあり、現場ではほとんど話をしませんでした。

 それに、撮影した時期が新型コロナ(ウイルス感染症の)5類移行前だったので、いまより慎重に対策しないといけなかったですし、もともと僕は撮影現場でそんなに話をするほうではありませんでした。

 だからかスタッフの方が、“山村さんが、僕に避けられているんじゃないかと思っているみたいだよ”と教えてくださって。まったく、そんなことなかったんですけど(苦笑)

杉野遥亮 撮影/吉岡竜紀 ヘアメイク/亀田雅 スタイリスト/伊藤省吾
杉野遥亮 撮影/吉岡竜紀 ヘアメイク/亀田雅 スタイリスト/伊藤省吾
【写真】運命の女性と兄との間で揺れる弟役に挑戦した杉野遥亮

 映画初出演の山村に演技の先輩としてアドバイスをしたことがあったのかを聞くと、

俳優としてまだまだ未熟な僕が、山村さんに何かを言うなんてものすごく失礼な話です。現場で真剣に淳也と向き合っている山村さんを見て、僕も勉強させていただきました。淳也はすごく素敵なお兄ちゃんで。(映画のチラシを見ながら)自分でも不思議なのですが、本当の兄弟みたいですよね」

 今作が撮影されたのは、岡山県美作(みまさか)地域。劇中でも登場する広大な茶畑は圧巻だ。

当時、東京のスタジオで撮影をする作品が続いていたので“自然”や“地方”という言葉にすごく憧れを感じていました。なので、美作での撮影は新鮮な経験でしたし、“やった!”という感じでした。

 特に茶畑はすごかったです。心が洗われるような気持ちになりました。お話を聞いたら、茶葉を育てるのは本当に大変で。1日2時間ほどしか眠ることができない日もあるとか。

 自分としては、いつもビルばかり見ている環境よりも、茶畑の中で仕事をしているほうが、心が豊かになるのかもしれないなと思いました