「男女格差」描く作品支える役者陣の力

 ドラマの中では結婚することが幸せ、女性ということだけで仕事を得られないなど現代に通じる部分が多々あったことが若い女性からも共感を得ているのだろう。20代の女性視聴者・Bさんからは、

「久保田先輩の『結婚しなければ半人前、結婚すれば弁護士の仕事も家のことも満点を求められる。絶対満点なんて取れないのに』というセリフが心に残りました。今でも家庭と仕事どちらもできることを求められるのは男性よりも女性のほうが強いと思います」

 という声が。また、

「男性の中には自分の意見を言う女性を嫌がる人がいるというのは現代でも同じで、働く女性として共感できる部分があります」(20代の女性視聴者・Cさん)

 という意見もあった。

 既婚女性は無能力者と扱われていた戦前の時代から女性がどのように地位向上していったのか、学校でも習わないようなことが『虎に翼』では描かれているので勉強になる点が多いことも、若い女性視聴者の興味を引いているのかもしれない。

当時の男女格差をちゃんと取り上げていて、それに奮闘する女性たちがカッコいいなと思いました。このドラマを見なければ女性用トイレが当たり前にない時代があったことも知らなかったです」(20代の女性視聴者・Dさん)

 出演者の演技も好評だ。「主人公の伊藤沙莉さん、お父さん役の岡部たかしさん、夫役の仲野太賀さんと名バイプレーヤーが主要人物にきたという配役もいいですね。適度にコミカルなのも役者さんの力があってこそだと思います」(カトリーヌさん)

 始まってまだ2か月しかたっていないとは思えないほど濃密な脚本で、現代にも当てはまるテーマや「はて?」と感じることをドラマに昇華することに長けている『虎に翼』が若い女性に人気なのも納得だ。物語は戦後へ。これから法律家として寅子がどう活躍するのか、今後の展開から目が離せない。