現行の皇室典範

 現行の皇室典範では「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」と定められている。秋篠宮さまが、天皇の位を継ぐ皇位継承順位第1位の皇嗣となり、悠仁さまが皇位継承順位第2位となったが、将来、天皇、皇后両陛下の長女、愛子さまは天皇にならず、結婚すると皇室を離れることになる。

 明治から大正、そして、昭和、平成、令和と天皇の位である皇位は、父から長男へと、代々、受け継がれてきた。しかし、令和の次の時代は、現行の皇室典範に従えば、天皇の位は父から長男ではなく、兄から弟へ、さらに次の時代には弟の長男へ移ることになる。こうした直系から傍系へと皇位が移るという事態は、近現代史上、日本人にとって初めてのことであり、決して小さな出来事とはいえない。

 現在も続く、秋篠宮家批判の異様な盛り上がりも、その原因のひとつは、長女、小室眞子さんの結婚騒動にあるだろう。

 しかし、長期的な視点で考えてみると、皇嗣となった秋篠宮さまとその家族が、これまで以上に国民から注目され、期待され始めたことが、秋篠宮家批判の遠因として挙げられるかもしれない。目立つからこそ叩かれる、という喜ばしくない事態が起こってしまったのだろうか。

「結婚につきましては、将来的にはしたいと思っておりますが、来年の春から、また再び大学生になりますし、現在は考えておりません。理想の男性像は、一緒にいて落ち着ける方がいいと思っております」

 2014年12月15日、成年を迎えるにあたっての記者会見で佳子さまは、記者たちから「ご自身のご結婚についてのお考えと、理想とする男性像についてお聞かせください」などと尋ねられ、このように答えた。

 また、2019年春、国際基督教大学(ICU)の卒業にあたり宮内記者会から、「結婚の時期や、理想の男性像についてどのようにお考えでしょうか」などと質問された佳子さまは、《結婚の時期については、遅すぎずできれば良いと考えております。理想の男性像については、以前もお答えしていますが、一緒にいて落ち着ける方が良いと考えております》などと文書で回答した。

 今年、30歳になる佳子さまの結婚は国民の大きな関心事である。24歳と23歳で結婚した秋篠宮ご夫妻もまた、娘の幸せな結婚を望んでいる。両親のときのように国民が心から祝い、喜ぶことができる佳子さまの結婚が、多くの人たちに期待されている。

<文/江森敬治>

えもり・けいじ 1956年生まれ。1980年、毎日新聞社に入社。社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て退社後、現在はジャーナリスト。著書に『秋篠宮』(小学館)、『美智子さまの気品』(主婦と生活社)など