4月からひとり暮らしスタート
2023年3月19日に母親のシンシンのもとから親離れし、その後は2頭で一緒に暮らしていたシャオシャオとレイレイ。今年の4月15日、ついに1頭ずつの飼育になった。ひとり暮らしデビューだ。
「もともと2頭で暮らしていたところからシャオシャオを移動させたので、環境が変わったシャオシャオは最初は少し落ち着きませんでした。場所が変わらないレイレイはいつもどおりの様子でした」
今のところ、2頭がお互いを捜すような、寂しがるようなそぶりは見られないという。
「パンダはもともと、単独で暮らす生き物ですから。さらに言えば、寂しいことですが野生ではきょうだいがそろって元気に育つことはほぼないんです。単独で暮らすことへのストレスはないんだと思います」
1頭は保育器でミルクを飲ませ、1頭はシンシンの母乳を飲ませ、それを定期的に交換するという方法で育てられたシャオシャオとレイレイ。
「双子で生まれた2頭を、24時間態勢で育ててきました。生まれたころはコロナ禍で中国の専門家も来られませんでしたし、一歩間違えたら死んでしまうかもしれなかった。なんとか無事に育ってくれ、という思いだけでした。
よくインタビューなどで“2頭のかわいいところは?”と聞かれるのですが、飼っている猫に対するような“かわいい”という感情には、不思議とならないんです」
2頭への思いを聞くと、
「とにかく、これからも元気に育ってほしい。そしていずれは中国に帰って、パンダの保全のための役割を果たしていってほしいと思います。
もしかしたら、2頭の子どもや孫が、野生復帰に役立てられるかもしれない。パンダの保全の一翼をシャオシャオとレイレイが担ってくれれば本当にうれしいです」