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ー 皇族の留学記の“元祖”
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ー 復刊で書かれていた“夢”

「SNS投稿やネット書店のレビューを見る限り“とにかく面白い”“感動した”“文章が好き、上手、読みやすい”といった声が多いように思えます」

 今、三笠宮彬子さまの著書『赤と青のガウン』に注目が集まっている。これは'01年9月から1年間と'04年9月からの5年間の2回、合わせて6年間イギリスのオックスフォード大学に留学し、女性皇族として初めて海外で博士号を取得された、彬子さまの留学記。冒頭の言葉は、出版元・PHP研究所の広報担当のもの。'15年に発行された本が、今年の4月に文庫化され、皇族が書いた本としては異例のヒットになっているのだ。

皇族の留学記の“元祖”

「'23年5月に、電子書籍の読者“かよさん”がTwitter(現X)に《プリンセスの日常が面白すぎる》と投稿し、バズったことが文庫化の経緯です。当時、紙の単行本は品切れ状態が続いており、その扱いについて彬子女王殿下よりご相談があり、文庫版(紙・電子)に形を変えて『PHP文庫創刊40周年』を飾る1冊として発刊させていただくことになりました」(前出・広報担当)

 増刷を重ね、7月2日には25万部に到達するというベストセラーになっているが、皇族の留学記の“元祖”といえば'83年から2年間、同じオックスフォード大で過ごした思い出を天皇陛下が著した『テムズとともに』だ。

《今後はまず縁のないことであろう》と、銀行で他の国の紙幣をポンドに両替したり、クレジットカードを使っての買い物をしたことや、カジュアルな服装が理由でディスコへの入店を断られた失敗談。また、エリザベス女王一家や恩師、学友たちとの交流などが生き生きと綴られている。