歌舞伎界の現状と猿之助の意向

 松竹関係者も同じだと言う。

「現状については白紙ですが、戻れるなら早く戻ってほしいです。というのも、坂東玉三郎さんが引退し、尾上菊五郎さんと松本白鸚という大看板はご高齢で今ひとつ体調がよくない。中車さんも頑張ってくれていますし、若手の活躍も目立ちますが、猿之助さんほどの人気を得るにはまだまだ時間がかかるでしょう。市川團十郎白猿さんだけでは、新しくお客さんの動員数を増やすことが見込めず、歌舞伎ファンを獲得するのも難しい状況です。猿之助さんに早く戻ってきてもらいたいと願っていますが、世間の反応を考えると……会社サイドとしては、何も言えないですね」

2023年7月31日、原宿署から保釈された市川猿之助
2023年7月31日、原宿署から保釈された市川猿之助
【写真】新パートナーを自転車に乗せ、自宅を出る市川猿之助

 歌舞伎関係者の思いは、猿之助が事件を起こした直後と一貫して変わっていない。果たして、その思いは本人に届いているのだろうか。

中車さんとは連絡をとっているようですから、周りが復帰を願っていることは伝わっていると思います。ただ、本人にその気がないのでしょう。そもそも事件を起こしたきっかけは、週刊誌でスキャンダルが発覚しそうになり、それを気に病んだこと。あれくらいのスキャンダルは正直、歌舞伎役者にとって、それほどダメージになるとは思えません。謝罪してしまえば、あとは時間が経つにつれて、みんな忘れてしまっていたでしょう。ドラマや映画は別ですが、歌舞伎出演に異を唱えるファンはいません。それでも世間の声を気にするなら、半年ほど活動を休止すればよかったのだと思います。現に、スキャンダルが報じられた中車さんは、ドラマはダメでもすぐに歌舞伎に出ていますからね。猿之助さんはとても“気にしい”で、繊細な人。それが演技にも活かされているんですけどね」(スポーツ紙・歌舞伎担当記者)

 今でも世間の目を気にしていて、少なくとも執行猶予が明けるまで復帰はないだろうという。ただ、本人は現在、裏方に回る意思が強いという話も。役者として復帰するにしても、まだまだ時間がかかりそうだ――。