「辞めジャニ」でも異彩を放つ存在

 そして、そんな長瀬らしさは退所以降、ますますあらわに発揮されるようになった。何より夢中なのがバイクレースで、6月9日にはその宣伝のため、久々の取材対応もした。

「速く走るために汗ばんで、髪も長くてひげ面で。こんな男たちを知れることもレースの一つの醍醐味だと思いますよ」

 と、女性層へのアピールに励む一方で、役者業については「僕は同じことを繰り返すつもりはなくて」と、やや消極的だ。また、愛用していたアンプをリサイクル店で働く友人に譲り、それが次々と売れるという事態も発生。音楽へのやる気が失われつつあるのではと、再集結を願うTOKIOファンを不安にさせた。

『池袋ウエストゲートパーク』('00年TBS系)制作会見での長瀬智也(左)と山下智久(右)
『池袋ウエストゲートパーク』('00年TBS系)制作会見での長瀬智也(左)と山下智久(右)
【写真】「松本人志に似てる」話題になった長瀬智也の近影

 例によって、鈍感かつ無頓着な長瀬。ちなみに昨年、KODE TALKERSというバンドでライブをやったり、CDを出したりしたが、商業目的というより、仲間うちで楽しんでいる感じだ。

 無欲というか、芸能活動で得たいものは今、特にないのだろう。そのスタンスは、いわゆる「辞めジャニ」の中でも異彩を放っている。

 12歳で入所して、42歳で退所するまでの30年間、十分にやり切ったということなのか、早くも第二の人生へ、いや、すでにセミリタイアしたかのような展開だ。それでいて、バイクレースに夢中というあたり、老成どころか、ガキっぽさ全開でもある。こういう生き方は男性から見て、結構理想的。実際、KODE TALKERSとしてのライブでは、9割近くが男性客だったという。

 手越祐也のように日々必死な「辞めジャニ」と比べたら、いたって悠々自適。しかも、こうした生き方をする男がまた芝居をやったらどんな感じになるのか、興味を覚える人もいるはずだ。もしかしたら「演技がうまい」1位の木村拓哉だって、うらやましく感じていたりして─。

ほうせん・かおる アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。