これは人の肌にも同じことが言えます。生まれたばかりの赤ちゃんの肌や若いころの肌は、肌の内部に十分な水分やコラーゲンといった成分が整っているため、ちょうど風船がほどよく膨らんだ時と同じ状態になっています。しかし肌内部がしぼんでしまうと、均質性をまだ有しているにもかかわらず、キメが分かりにくくなってしまいます。これを肌の「菲薄化(ひはくか)」と呼びます。
肌のキメと風船の関係はとても興味深く、キメがけっして肌表面だけの問題ではなく、肌内部の圧力(肌の内圧)が直接的にかかわっていることが分かります。そこで肌内部を膨らませるために水分やコラーゲン、セラミドといった保湿成分が欲しくなります。
キメとラーメンに見る最先端美容
コラーゲンたっぷりな料理はいくつかありますが、とんこつラーメンもコラーゲン豊富なメニューとして紹介されることがあります。しかしここで、学者の間でよく言われる「コラーゲンの不都合な真実」があります。それは、ラーメンなどに含まれているコラーゲンが、そのまま肌のコラーゲンになるわけではない、という事実です。
人の栄養の吸収は鉄壁のバリヤーで守られています。食べたラーメンのスープに含まれるコラーゲンや脂質は、唾液の酵素や、胃酸によって次々と分解され、アミノ酸や低分子の脂肪にまで分解されてからようやく腸壁から吸収されます。そこにはコラーゲンのような巨大な分子がそのまま体内に吸収されるようなルートはありません。もしそのような大きな穴(欠陥)がどこかにあれば、ウイルスも侵入してきます。
そのため、ラーメンを食べることが肌内部のコラーゲンを直接的に増やすわけではありません。しかし、少なくともコラーゲンになる材料は手に入れているのではないか、と思いますが、それでも即効性のあるものではありません。
ところが、ラーメンを食べた直後は、男性の私でさえ気が付くほどの即効性の美肌効果があります。ラーメンを食べ終わった後、顔の肌がなんだかつややかになり、保湿されたかのようにしっとりとなり、血色よく弾力を持った肌になっています。コラーゲンを吸収しているわけではないのに、一体なぜでしょうか。