カタツムリをめぐって大ゲンカ

 突然スタートしたサバイバル生活は、早々に行き詰まる。

「飲み水の確保に苦労しました。海水から真水を作る装置を作ることを試みましたが失敗し、最終的に雨水を飲んでいました。海岸から2時間ほど歩いたところに湧水もあったので、それも飲んでいましたね。井戸を発見して飲んだのですが、それはめちゃくちゃおいしかった。しかし、その後にお腹を下して死ぬかと思いました。井戸水を発見しても絶対に飲まないでほしいと思います。飲むことはないと思いますが(笑)」

 食べ物を調理する、火の確保も課題だった。

「最初は何も考えずにマッチを使っていたのですが、あるとき気がつくんです。これを全部、使い切ったらまずいぞ……と。途中から焚き火を作り、その火を100日間ぐらい絶やさないようにしていました。寝るときは、どちらが起きて火の番をするんです。この火が消えたら、どうなるんだろう……、という恐怖はずっとありました

 水と火は確保できても、食べ物はどうしていたのか。やはり“海の恵み”に支えられていたのでは?

「いや、主食は自生しているヨモギの葉っぱを海水でゆでたもの。途中からカタツムリもゆでて食べていました。満月の夜だけ、カニが大量に海岸へとあがってくるんです。それを見つけたときは、めちゃくちゃ嬉しかった。カニだけにカニバブルで。人生でトップ10に入る喜びでしたね」

 バブルも泡のようにはじけると、再び極限状態に陥っていく。

「相方とは途中でけっこうケンカもしました。それも“お前、カタツムリ1匹多く食べただろ?”と、ガチンコのケンカをして……。余裕があれば許せたのでしょうが、人間の気持ちってけっこういい加減なものだと思いました」